県公共事業評価委 今泉町工区は「妥当」 公共事業の事前評価 審議1件と報告9件

[2021/11/16 栃木版]

 県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は15日、県庁舎内の会議室で本年度第2回の委員会を開き、県土整備部所管事業8件、農政部所管事業2件の事前評価を行った。このうち、「県道栃木環状線外1路線 今泉町工区」は総事業費が30億円を越える見通しとなることから審議案件となり、委員から事業実施が妥当であるとの意見が提出された。その他の9事業は、総事業費が30億円未満のため報告案件となり、所管課から事業の内容を委員に報告して意見や提言を受けた。

 県は総事業費10億円以上の事業について、事業実施の前に公共事業評価委員会で事前評価を実施している。このうち、10億円以上30億円未満については報告案件とし、事業内容を委員に報告。30億円以上は審議案件となり、事業実施が妥当かどうかを委員が審議する。

 今回審議した県道栃木環状線外1路線の今泉町工区は、小山市と栃木市間の連携強化や北関東道都賀ICのアクセス強化、栃木市中心市街地の交通渋滞緩和を図るため整備を計画する。総延長は、栃木環状線2460mと栃木小山線1240mの計3700mで、幅員は車道4車線や副道などあわせて31m。当面は早期に事業効果を発現させるため、暫定2車線で整備する。

 総事業費は、測量設計費約1億円や用地補償費約25億円、工事費約34億円の合計約60億円を見込む。スケジュールは、22年度に構造物詳細設計や用地調査を実施するほか、22年度から用地取得を開始。工事は24年度から31年度までの期間で実施する。

 報告案件のうち、県土整備部所管事業は道路事業が4件、街路事業が2件、河川事業が1件となる。道路事業はいずれも快適で安全な道づくり事業で、「国道123号氷室工区」と「主要地方道宇都宮鹿沼線飯岡東工区」、「県道西田井二宮線東大島工区」、「主要地方道羽生田上蒲生線関沢橋工区」となる。

 国道123号の氷室工区は、完成4車線で整備が完了した清原拡幅工区と、暫定2車線で整備した水橋拡幅工区の間に位置する区間で、延長1420m、幅員23m(4車線)。22年度から事業に着手して31年度までの10年間で実施する計画で、総事業費は約16億円を見込む。

 宇都宮鹿沼線の飯岡東工区は、4車線化事業を実施している千渡東工区、飯岡工区(いずれも22年度完了予定)と飯田工区(25年度完了予定)の間の区間のうち、飯岡工区終点から東へ810mの区間を対象とする。幅員は、車道2車線や両側歩道など25mで計画。事業期間は22年度から29年度までに8カ年で、総事業費は約17億円を予定する。

 西田井二宮線の東大島工区は、近隣の小中学校の通学路に指定されているにもかかわらず幅員が狭く、大型車も数多く通行することから、山前小学校南交差点から整備済みの鹿・小貝川西・物部工区まで、延長3200mのバイパスを整備する。事業期間は22年度から31年度まで、総事業費は約20億円で計画する。

 羽生田上蒲生線関沢橋工区は、前後区間が4車線であるにもかかわらず2車線であるため交通渋滞が発生しているほか、沿線で北関東道下野スマートICや六美町北部土地区画整理事業が進められ、今後交通需要の増加が見込まれることから延長700mを拡幅整備する。事業期間は22年度から26年度までの5カ年、総事業費は約18億円を想定する。

 街路事業は、「宇都宮都市計画道路3・3・901号おもちゃのまち下古山線おもちゃのまち工区」と、「那須塩原都市計画道路3・4・8号藤原西那須野線五軒町工区」の2件を報告した。

 おもちゃのまち下古山線おもちゃのまち工区は、羽生田上蒲生線関沢橋工区のすぐ西側にあたる。現状は幅員18mの4車線となっているが、付加車線が未整備で渋滞が発生しており、また無電柱化されておらず災害時に機能しない可能性があるため、現道拡幅および無電柱化を実施する。事業期間は22年度から28年度まで、総事業費は約27億円で計画する。

 藤原西那須野線五軒町工区は、JR西那須野駅と国道4号を結ぶ街路の一部で、駅側の永田町工区は現道拡幅と無電柱化を実施済み。今回は残る500m区間について、現道を拡幅して歩道を広げるとともに無電柱化を実施する。事業区間は22年度から28年度までを想定し、総事業費は約12億円を見込む。

 河川事業は、「一級河川巴波川」1件となる。栃木市の中心市街地で関東・東北豪雨、東日本台風と立て続けに大規模な浸水被害が発生したことから、国道50号新巴波川から荒川合流点までの区間で流下能力の増大を図る。既に主要地方道栃木小山線平成橋より上流は地下捷水路で整備を進めており、今回は平成橋から下流側9.2kmの河道掘削や堤防嵩上げに着手する。事業区間は22年度から31年度までの10カ年で、総事業費は約22億円を想定している。

 農政部は、県営圃場整備事業の千渡地区(鹿沼市千渡、白桑田、深津地内)と中谷地区(野木町中谷、南赤塚、丸林、友沼、野木地内)の2件を報告した。

 千渡地区は、水田の大区画化や汎用化、スマート農業に対応した基盤整備を実施し、担い手の集積・集約化や生産拡大を促進する。区画整理58.7ha(水田56.0ha、畑2.7ha)や暗渠排水工56.0haを計画しており、事業期間は22年度から29年度までの8カ年、総事業費は13億8000万円を計画する。

 中谷地区も土地利用型農業の展開を目指し、水田の大区画化や汎用化、スマート農業に対応した基盤整備を実施して担い手の集積・集約化を図る。区画整理71.4ha(水田64.2ha、畑7.2ha)や暗渠排水工42.0ha、客土工42.0haを計画し、事業期間は22年度から28年度までの7カ年、総事業費は16億4000万円を見込んでいる。

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