国交省 通学路対策加速化へ 来年度予算の大臣折衝 補助創設し500億円計上

[2021/12/24 栃木版]

 国交省は22日、財務省との2022年度予算の大臣折衝を行い、通学路の交通安全確保に向けた個別補助制度の創設が認められた。22年度から5年程度の補助期間を想定し、22年度予算案には500億円を計上する。また、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについても折衝し、新たに大臣間で合意。22年度予算案で54億円を繰り戻すとともに、23年度以降の繰戻額も22年度予算の水準を踏まえることで合意している。

 通学路の交通安全確保に向けた個別補助制度は、21年6月28日に千葉県八街市で下校中の小学生の列にトラックが衝突し、5人が死傷する痛ましい交通事故が発生したことを受けて創設する。

 同年8月4日の関係閣僚会議で決定された「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」に基づいて通学路合同点検が実施されているが、この点検で抽出された対策必要箇所での交通安全対策を、速度規制や通学路の変更などソフト面での対策を組み合わせつつ、可能なものから速やかに実施することとしている。

 今回国交省では、これらの対策を早急に実施できるよう、地方に対して集中的に支援することを可能とする個別補助制度を創設して、22年度予算に500億円を盛り込むよう要求。折衝の結果、財務大臣から要求どおり認められた。

 交通安全対策補助制度(通学路緊急対策)は、通学路合同点検に基づきソフト対策の強化と合わせて実施する交通安全対策に対し、22年度から5年程度の補助期間で計画的かつ集中的に支援する。道路管理者の主な対策としては、歩道・防護柵の整備や物理的デバイス(スムーズ横断歩道)の設置、右折レーンの整備(渋滞解消→通り抜け車両の抑制)などを想定している。

 一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しは、1994年度および95年度に自動車損害賠償責任再保険特別会計(現・自動車安全特別会計)から一般会計に繰り入れられた繰入金の残額について、財務大臣と国土交通大臣との間の覚書により、2022年度までに一般会計から自動車安全特別会計に繰り戻すこととされていた。

 このため今回の折衝では、自動車安全特別会計における被害者保護増進事業などを充実させるとともに、繰戻しを増額し、あわせて22年度の繰戻額の水準を踏まえ、引き続き被害者保護増進事業などが安定的・継続的に将来にわたって実施されるよう繰戻しを継続することを要求。22年度予算には54億円を要求して、折衝の結果、財務大臣から要求どおり認められた。

 一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しについては、一般会計に繰り入れた1兆1200億円のうち、21年度末見込みで約6000億円が繰り戻されていない状況。毎年度の繰戻額は、法律や大臣間合意に基づき、財務省と国土交通省が協議の上で決定している。

 今回の新たな大臣間合意では、22年度予算案で54億円と、21年度繰戻額の47億円から7億円増額。また、新たな大臣間合意の期限を23年度から27年度までの5年間とし、23年度以降の繰戻額の目安を「22年度予算における繰戻額の水準を踏まえること」と初めて明記した。

 23年度以降の繰戻しについても、「一般会計からの繰戻しに継続して取り組むこと」を初めて明記。さらに、安全・安心な自動車社会の実現のための賦課金制度も「関係者の理解を得つつ、賦課金制度の検討を行い、早期に結論を得ること」と記載した。

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