鹿沼インター周辺の造成着手 新年度予算案 風見発電所改修に21億円(県企業局)

[2022/2/17 栃木版]

 県企業局は15日、2021年度第2回経営評価委員会(委員長・池田裕一宇都宮大学地域デザイン科学部教授)を開催し、22年度当初予算案の概要を説明した。新年度は県政の重点事項である脱炭素化やDXの推進に向けた取り組みを推進するほか、老朽化した水道施設・設備の修繕・更新や、芳賀第2工業団地の早期分譲完了と鹿沼インター産業団地の予約分譲案内開始などを推進する。風見発電所の改修には21億5666万円、深山発電所の改修には1億1326万円を配分するほか、水道事業と工業用水道事業の浄水場遊休地には太陽光発電の新規設置を検討。鹿沼インター地区用地造成事業には6億7062万円を計上し、調整池などの工事に着手する。

脱炭素化やDXの取り組み推進

 新年度当初予算案の編成方針は、20年度に改定した経営戦略に掲げる経営方針を踏まえ、特に「カーボンニュートラル」と「デジタルトランスフォーメーション」といった新たな課題に的確に対応したうえで、「企業の経済性の発揮」と「公共の福祉の増進」に資するよう編成した。

 収益的収支は、収益が94億3500万円、費用が86億7500万円で、損益が7億6000万円(消費税を除く純損益は4億5507万円)。このうち電気事業は、前年度に引き続き風見発電所の全面改修事業の影響で9791万円の純損失となる見込みだが、その他の事業については全て純利益を見込んでいる。

 資本的収支は、収入が29億4500万円、支出が83億3200万円で差引は53億8700万円のマイナス。全ての事業でマイナスとなっているが、損益勘定留保資金や建設改良積立金などの財源により補てんする。

 事業会計別では、電気事業で販売電力量に21年度とほぼ同量の18万4997メガワット時を見込む。主な実施予定事業は、風見発電所全面改修事業に21億5666万円、川治第一発電所屋外機器更新工事に1億2232万円、深山発電所全面改修事業に1億1326万円、足尾発電所水圧鉄管等耐震補強詳細設計業務委託に5500万円、今市発電管理事務所集中監視制御装置更新等実施設計業務委託に3253万円などとなる。

 風見発電所全面改修事業(事業期間:16年度~23年度)は、22年度に水車・発電機などの主要機器製作据付および本館建替などを予定し、建設改良費20億4699万円、撤去費1億0967万円を計上した。深山発電所全面改修事業(同20年度~25年度)は、水車・発電機などの主要機器製作据付や、除じん機更新などの工事を計画し、建設改良費1億1326万円を計上している。

 水道事業は、年間供給水量が北那須で那須塩原市への供給減が見込まれるため、21年度から若干のマイナスとなる。工業用水道事業は、年間基本供給水量が21年度と同じで、年間使用水量が若干のマイナスを見込む。

 主な実施予定事業は、北那須水道事務所のろ過池原水弁更新工事に7221万円、薬品沈殿池(1系排泥)空気源作動弁更新工事に5677万円、太陽光発電設備設計業務委託に1938万円、鬼怒水道事務所の太陽光発電設備設計業務委託に1578万円、取水場油分検出装置更新工事に1455万円、1系排水処理池汚泥掻寄機更新工事に3973万円を計上する。

 鬼怒工業用水道でも、太陽光発電設備設計業務委託に360万円、取水場油分検出装置更新工事に1455万円、1系排水処理池汚泥掻寄機更新工事に5507万円、芳賀第2工業団地配水管布設に係る舗装工事に1401万円を予定する。

 鬼怒上水と鬼怒工水の1系排水処理池汚泥掻寄機更新工事は、設置から40年が経過して錆の発生や設備の劣化などが認められるため、設備を更新し長寿命化も図る。21年度から工場製作に着手しており、工事期間は22年1月から23年3月を予定。工事中は1系排水処理池が停止になるため、2系のみの片系運用となる。

 用地造成事業は、21年度当初と比べ収益的収支の収入額で31億6800万円、支出額で28億4100万円といずれも大幅に増加した。これは既存団地のほか、22年度中に芳賀第2工業団地を全て分譲することを見込んで分譲収益と分譲原価を新たに計上したためで、分譲の見込みも分譲面積に21.6ha、分譲収益に39億4805万円を計画している。

 主な実施予定事業は、鹿沼市鹿沼インター地区用地造成事業に6億7062万円のほか、工業用地開発開査に要する経費として新規地区基礎調査に5500万円、戦略的な企業誘致活動に要する経費として1171万円を予算化。鹿沼インター地区用地造成事業は、22年度から調整池などの工事に着手する予定で、用地費に1億7062万円と造成工事費に5億円を配分する。

 施設管理事業のうち、企業局全体の共通管理費を計上する経営総合管理事業は、職員用パソコンの更新に伴う負担金の増で21年度より若干増加している。賃貸ビル事業は賃貸収益が21年度から899万円減少するが、これは新型コロナの影響で駐車場収入が大幅に落ち込んだことから、貸付料金を見直したため。

 またゴルフ場事業は、県民ゴルフ場30周年記念事業のほか、県民ゴルフ場クラブハウスリニューアル事業に9896万円を計上。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、「新たな日常」に対応した施設に改修するとともに、老朽化が進んだ内装(床・壁等)のリフレッシュ工事を実施する。内訳は、建設改良費が8411万円、撤去費が1485万円となる。

 このほか、企業局の脱炭素化の取り組みとしては再生可能エネルギーの最大限導入に向けて既設発電所の増出力・増電力量を図るほか、水道事業で太陽光発電の新規設置を検討。本町合同ビルでは本年度に実施した脱炭素化の可能性調査結果を踏まえて検討を行い、ふるさと電気による地域貢献も推進する。

 DX推進の主な取り組みは、保守管理の高度化として発電設備の保守記録の電子化による業務の高度化を図るほか、水道施設の各種調書の電子化を検討。経営基盤の強化では、昨年10月から名刺管理サービスの利用を県庁で初めて開始しており、昨年12月にはYouTubeチャンネルの運営も開始している。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.