建設地はシーステ 道の駅基本構想案を公表(大洗町)

[2022/3/17 茨城版]
 大洗町はこのほど、「道の駅おおあらい(仮)基本構想(案)」を公表した。それによると、建設候補地は町営駐車場及び大洗シーサイドステーション(愛称・シーステ)を最有力と明記。コンセプトは「うみまち大洗の心あふれる道の駅」とし、特産品の販売・展示施設や休憩施設、観光案内所などを整備していく。整備手法については、基本計画の中で決定する予定。町では同案のパブリックコメントを実施しており、町民の意見を反映して基本構想を策定していく。今後は22年度に基本計画を策定するとともに、順調にいけば基本設計にも着手する方針だ。

 町は県内有数の観光地として知られている一方、観光施設や飲食店、土産店などが点在しており、1つの場所で観光案内や飲食、土産物の購入などができる施設が不足している。また、首都圏への流出が進むなど人口は年々減少する中で、町内での雇用の場の創出の必要性が高まっていた。

 そこで施設内で飲食や土産物の購入ができ、町内周遊観光を促す「複合型観光交流拠点」として、さらに雇用創出が期待できる、将来にわたって持続可能な道の駅の整備を進めることになった。基本構想・基本計画業務は常陽産業研究所(水戸市)が担当する。

 計画候補地は、まず国道51号と大洗サンビーチ通り(県道2号)を候補路線とし、その後▽大貫台▽町営駐車場及び大洗シーサイドステーション▽大洗サンビーチ(大洗海浜公園)──の3カ所を抽出。その後、整備検討委員に対するアンケートを踏まえて候補地の比較検討を行い、町営駐車場及び大洗シーサイドステーションを最有力候補地として選定した。既存施設については改築か解体して新たに整備するかは、22年度に策定する基本計画で決定していく。

 道の駅のコンセプトは「うみまち大洗の心あふれる道の駅」とし、同コンセプトを実現するために▽大洗の特産品や食などを提供する産業拠点▽町民共創による観光まちづくり・おもてなし拠点▽情報発信拠点▽SDGs推進拠点▽防災拠点──の5つの基本方針を定めた。

 この基本方針のうち、産業拠点の機能では町で採れた海産物や農産物などの特産品を販売する施設を整備するほか、これらをPRする展示施設の整備も検討する。飲食施設でも町産の食材を積極的に使用し、町内の飲食店と連携できる仕組みを作っていく。

 観光拠点機能としては、観光客や町民、フェリーを利用するトラック運転手など多様な人が寛げる24時間利用可能な休憩施設や乳幼児をもつ子育て世帯が利用できる授乳室、オストメイトにも配慮した洋式トイレなど誰もが安心して利用できるトイレを整備。駐車場ではバリアフリー化の推進や電気自動車のさらなる普及に備えてEV充電施設の設置も検討していく。このほか、野外に海風を浴びながら休憩できるスペースの設置や、周辺の観光施設を回遊する利便性向上のためレンタサイクル事業の実施も検討していく。

 情報発信拠点の機能では、大洗町の玄関口として町内の観光施設やイベント、キャンペーン、さらには周辺の道路状況などの情報を発信する観光案内所を設置して観光施設の案内や入場券の販売などを行う。また、外国人観光客を想定した案内標識の多言語化対応やキャッシュレス決済の整備も検討する。

 SDGs推進拠点機能では、道の駅施設の屋根上に太陽光発電システムを新設するなど、再生可能エネルギーの利用を促進する。防災拠点機能は、災害対応のため太陽光発電用の蓄電池システムや移動用発電機、備蓄倉庫、耐震貯水槽などの整備を検討していく。

 整備主体は、道路管理者と市町村で整備する「一体型」と、市町村で全て整備を行う「単独型」があるが、今回は最有力候補地の町営駐車場及び大洗シーサイドステーションの前面道路が県道であることから、道路管理者の茨城県と大洗町で設置する「一体型」での整備を図る計画。

 整備手法と管理運営方式は、▽公設公営▽公設民営(指定管理/第3セクター)▽公設民営(指定管理/民間事業者)▽公設民営(DBO)▽公設民営(BTO)──の5つから、今後委員会での議論を踏まえて基本計画を策定時に決定する。

 今後のスケジュールは、基本計画を22年度にまとめて、早ければ基本設計に着手。その後、実施設計を23年度に行って、建設工事は24年度以降となる予定。なお、22年度当初予算案には基本設計委託料1995万円を予算化している。

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