田村明比古代表取締役社長インタビュー 増大する航空需要に対応(成田国際空港株式会社)

[2023/8/17 千葉坂]

開港45周年 C滑走路や新ターミナル整備

田村明比古代表取締役社長

田村明比古代表取締役社長

 千葉県だけでなく日本を代表する、世界の玄関口として開港から45周年を迎えた成田国際空港。その運営を担う成田国際空港株式会社(NAA、成田市)の代表取締役社長を務める田村明比古氏。増大する航空需要や激化する国際競争などを背景に、空港の「更なる機能強化」として3本目となる「C滑走路」の整備や新ターミナルの検討に着手。自身も計画検討に携わった、新滑走路の2028年度末の供用などへ向け、全社一丸となって取り組むNAAの今後の展望を聞いた。

 ──貴社の歴史・沿革から

 「増大し続ける航空需要を背景として1966年に、当社の前身となる新東京国際空港公団が設立され、78年に、A滑走路の運用開始により成田国際空港が開港した」

 ──成田国際空港の設置には大きな苦労もあった

 「最初に空港の建設に至るまでは、地域の方々からの強い反発を招き、世界的にも〝反面教師〟の事例として、ドイツのミュンヘン空港の整備にあたっての住民説明にも影響を与えたと聞いている。

 その後、航空需要の拡大から2本目の滑走路が必要となり、B滑走路を整備するにあたっては、地域との信頼関係をゼロから構築するなど、先人たちの努力により地元との関係性が再構築された。これらを経た反省の上で、民間企業として柔軟な手法による運営が適切だろうとのことで2004年より民営化している」

 ──その後、田村社長が代表取締役社長に就かれ、これまでのやり方だけでなく変えていかなければならなかった点もあったかと思うが

 「19年6月に着任した頃は、インバウンドが増大する中、業界としての売り上げは上昇している状況だった。2010年代に入って、成田・羽田ともにキャパシティーが限界に達し、世界的な航空需要を踏まえると、既存の空港容量では足りなくなっていった。

 私自身、着任前にいた航空局で、成田・羽田の更なる機能強化を進めるという方針決定に携わっており、まさにそれに基づいて新たな〝C滑走路〟の整備を始めるという構想を実現するべきタイミングでの着任となった」

 ──それに伴う今後の整備について

 「更なる機能強化に向けては、コロナ禍の影響は受けたものの、必要な整備は着実に進めていく。現在は、埋蔵文化財や地質といった各種調査業務を進めている。

 本格的な整備に移っていく前に準備工として、昨年の秋にまず延伸するB滑走路が東関道にかかる部分を、将来的にトンネルにしていくための切り回し工事に着手した。また、新しく作るC滑走路の整備にあたっては高谷川の排水整備が年内に取り組むべき工事として控えている。28年度末(29年3月)での供用を目指している。

 一方、滑走路だけではなくターミナル部分においても、古い施設では50年近くが経過している。21世紀に入ってから20年以上が経っており、その間に世界的な航空マーケットは、すっかり変わってしまった。改修や増改築だけでは様々な変化への対応で柔軟性に欠けることから、抜本的な解決に向けて〝新しい成田空港〟として新ターミナル構想の検討を進めているところだ」

 ──施設整備にあたり、地元の建設関連企業や建設関連団体との協力関係や認識・あり方について

 「これまでも様々なプロジェクトについて、地元の建設関係者には本当に大きな協力を頂いており、それにより本空港では日々、数多くの整備が進められている。今後も、これまでと同様に地元の建設関連企業や建設関連団体も含めて、ご協力をお願いしたい」

 ──今後の展望を

 「本空港は開港以来、これまで多くの皆様に支えられて進化・発展を遂げ、おかげさまで本年に45周年を迎えることができた。今日まで日本の表玄関としての役割を果たしてくることができたのも、厳しい状況下でも力強く支えてくださった多くの関係者のご尽力のたまものと、改めて深く感謝申し上げたい。

 今後、私たちの歩みはここでとどまらず、将来に向けて、新たな体制のもと、国をはじめ、県、周辺自治体など関係各位のご協力をいただきながら〝更なる機能強化プロジェクト〟を着実に推進し、全社一丸となって持続可能な空港づくりと、空港運営に取り組んでまいりたい」

◆プロフィル◆
(たむら・あきひこ)1955年9月15日生まれの67歳。東京都出身。80年に東京大学法学部を卒業し、運輸省に入る。その後、在アメリカ合衆国日本国大使館参事官、国土交通省大臣官房審議官、鉄道局次長、航空局長、観光庁長官、国土交通省参与、株式会社三井住友銀行顧問などを経て、2019年6月より成田国際空港株式会社代表取締役社長に就任。趣味は、60年代ジャズをはじめとした音楽鑑賞を平日に楽しむとともに、休日は一転して本格的な畑仕事で季節ごとの野菜作りにも取り組んでおり、自宅の「食料自給率は高い」という。

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