緊急治水に156億円 新年度事業 東関道水戸線は193億円(関東整備局)

[2022/3/29 茨城版]
 国土交通省関東地方整備局は、22年度予算成立を受け、整備局管内の予算配分をまとめた。管内の配分事業費は1兆7604億円で、前年度当初(1兆7120億円)から2.8%のプラスとなった。本県関係の主な直轄事業では、21年度補正を含めた緊急治水対策プロジェクトで、那珂川に99億円、久慈川に57億4000万円をそれぞれ確保し、引き続き河道掘削や堤防整備などを進めていく。道路事業では、東関道水戸線(潮来~鉾田)に193億4000万円を投じるほか、国道6号牛久土浦バイパスに42億4000万円、23年春の4車線化を予定する国道50号結城バイパスには20億9000万円を確保した。

 配分事業費の内訳は、直轄事業に4528億円、補助事業に4595億円、交付金に8481億円となり、このほかにゼロ国債で753億円が配分されている。整備局所管事業の基本方針では、▽国民の安全・安心の確保▽社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大▽豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり──の3本を柱に、21年度補正予算と合わせて切れ目なく取り組みを進めるとした。また、社会資本整備については、「総力」を挙げたストック効果の最大化や「インフラ経営」の視点に立った既存施設の計画的な維持管理・更新・利活用を図りつつ、波及効果の大きなプロジェクト等を戦略的かつ計画的に展開するとしている。

 本県関係の主な直轄事業のうち、河川事業では那珂川と久慈川の緊急治水対策プロジェクトのほか、鬼怒川河川改修事業に17億4000万円、小貝川改修事業に約15億7000万円、霞ヶ浦改修に3億9000万円、霞ヶ浦導水事業に49億5000万円などを確保した。

 このうち、2河川で進める緊急治水対策プロジェクトでは、台風19号による被害を受け、24年度までに堤防や護岸などの復旧と河道掘削、樹木伐採による水位低減、遊水池整備、堤防整備などを緊急的・集中的に進めている。22年度は河道掘削と掘削土を利用した堤防整備などを進めるほか、久慈川では、霞堤の整備なども計画されている。

 霞ヶ浦導水事業では、那珂導水路工事(石岡トンネル)などを推進する。石岡トンネル(第1工区)新設工事は、茨城立坑(茨城町常井)から水戸立坑(水戸市河和田)までを結ぶ延長3800mでシールド工事(内径3.5m、外径3.9m)。昨年5月に一般競争入札が行われ、安藤・間が66億9900万円で落札した。工期は24年3月27日までとしている。

 道路事業では、東関道水戸線(潮来~鉾田)や国道6号牛久土浦バイパス、国道50号結城バイパスのほか、国道6号の小鶴西交差点周辺改良に1億7000万円、国道51号新宮橋架替に29億4000万円などが配分されている。

 このうち、東関道水戸線(潮来~鉾田)では、昨年12月に行われた事業連絡調整会議において、現在事業中である当該区間(延長30.9km)について、25年度から26年度ごろの開通時期が示された。新年度は、橋梁上下部工事、函渠工事、改良工事、跨道橋工事などを進めていく。また、26日に国道6号と接続する1.3km区間が2車線開通した牛久土浦バイパスでは、II期で改良工事や橋梁工事を計画するほか、III期で設計と用地買収などを進める。小鶴西交差点周辺改良では、県道大洗友部線と交差する小鶴西交差点において、右折レーンの延長工事を計画している。

 このほか、22年度中の主な開通・完成予定では、国道50号結城バイパス(延長2.8km、結城市結城~筑西市布川)のほか、茨城港常陸那珂港区国際物流ターミナル整備事業(水深12m岸壁、L300m、ひたちなか市)などを示した。

 道路調査の見通しについては、概略ルート・構造の検討(計画段階評価を進めるための調査)として、国道6号小美玉道路(仮称)が予定されている。県内の国道6号の未整備区間については、交通の円滑化を図るため、関係自治体と確認した当面の進め方を踏まえ、都市計画手続きや概略ルート・構造の検討に向けた調査を進める予定だ。そのほかの未整備区間については、渋滞や交通安全など、鹿島港周辺をはじめ、地域における道路交通に関する課題、サービスレベルを把握するためのデータ収集・分析などを行い、路線の必要性、緊急性、妥当性に関する基礎的な調査を実施するとしている。

 県内の新規補助事業箇所では、ダムや砂防、海岸などのメンテナンス事業や通学路緊急対策のほか、(仮称)笠間PAスマートICへのアクセス道路として、市道(仮称)笠間PAスマートIC線・(仮称)笠間PAスマートICアクセス1号線・2号線に3500万円の事業費が認められた。笠間市では22年度、測量・設計などを計画している。

 主要事業以外の取り組みでは、▽防災体制の強化、災害復旧の推進▽生産性向上や働き方改革の推進──などを掲げる。

 このうち、防災体制の強化、災害復旧の推進では、那珂川、久慈川などの管内4水系で取り組む緊急治水対策プロジェクトを推進し、社会経済被害の最小化を目指すとしている。

 生産性向上や働き方改革の推進では、22年をインフラDXの「挑戦の年」として、積極的にインフラ分野のDXを推進するほか、23年度のBIM/CIM原則適用に向けた推進、原則全ての工事での週休2日制適用工事の実施と施工時期の平準化などによる働き方改革を進める。あわせて、遠隔臨場やWEB会議などのリモート化の試行による建設現場の働き方改革と生産性向上、受発注者間のコミュニケーション確保に向けた円滑な執行と施工体制の確保を図るなどとした。

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