10市町で限度額廃止 前払金保証制度 前払率も全て40%に(東日本保証)

[2022/5/19 栃木版]

 東日本建設業保証栃木支店は、前払保証高取扱統計から見た2021年度の県内公共工事動向をまとめた。県内を工事場所とする公共工事は件数が4470件、請負金額が1918億5400万円で、保証金額は714億6200万円となった。前払金保証制度については、市貝町と茂木町が21年10月に、栃木市と佐野市、鹿沼市など8市町が22年4月にいずれも支出限度額を廃止するなどの改正を行っており、限度額を設けている市町村は大田原市のみとなった。=2面に前払実施基準等一覧

 前払金保証制度は、国や地方公共団体などが発注した工事の円滑で適正な施工を支援するため、当初に工事代金の40%を上限として受注業者に前払金を支払う制度で、県内では県および全市町が導入している。

 この制度改正について、21年度は4月に栃木市が前払金支出基準を建設工事、業務委託ともに500万円以上としていたものを、建設工事で130万円以上、業務委託で50万円以上へと引き下げた。10月には市貝町と茂木町で、前払金の限度額を1億円から限度額なしに改正している。

 また22年度は、4月に栃木市、佐野市、鹿沼市、那須塩原市、壬生町、野木町、高根沢町、那珂川町で限度額を廃止。高根沢町と那珂川町はあわせて、請負額に応じて設定していた前払率を一律40%に改正した。

 これにより、県内で支出限度額を設けているのは大田原市のみ(1億円以上)となる。また、地方自治法で前金払いは請負額50万円以上から支出できるとされているが、50万円以上は宇都宮市と鹿沼市のみ。栃木市と佐野市、矢板市、那須塩原市は130万円以上、足利市は130万円超となっており、このほか県と8市町が300万円以上、10市町が500万円以上と、大半は制限を設けている。

 業務委託の前払金は、大田原市と那須塩原市以外で全て導入済み。宇都宮市と足利市、栃木市、佐野市、鹿沼市、矢板市の6市は請負額50万円以上から適用可能で、8市町が300万円以上、4市町が500万円以上。県と5市町は、設計・調査が300万円以上、測量が200万円以上としている。

 中間前払保証制度は、当初の前払金40%に加え、工事半ばで20%を追加して支払う前金払い制度。工事を円滑に行う上で、施工業者の資金繰りに有効とされ、21年4月に塩谷町で導入したことで、県と全ての市町が導入済みとなった。

 適用基準は、宇都宮市と足利市で130万円超、栃木市と佐野市、矢板市、那須塩原市で130万円以上となったほか、県と9市町が300万円以上、10市町が500万円以上としている。

 国交省では今月9日から、直轄工事および建設コンサルタント業務などにおける契約の保証・前払金保証の保証証書などについて、電磁的記録により発行された保証証書等(電子証書等)の提出を可能とした。現時点で電子証書等の発行を予定している保証機関は、保証事業会社および保険会社。電子証書等の場合、郵送や持参の必要がなくなるとして、広く活用を呼びかけている。

 なお、21年度の県内公共事業の発注者別保証取扱高は、国が59億1700万円、独立行政法人等が32億0200万円、県が280億1300万円、市町が305億5100万円、地方公社が6億8300万円、その他が30億9400万円だった。

 国については国交省が47億8900万円で大半を占め、独立行政法人等は水資源機構が20億4600万円と最も多かった。県は県土整備部が236億7800万円、農政部が20億3500万円、環境森林部が10億3100万円など。市町では、宇都宮市が114億7900万円と突出している。

 業務委託の保証取扱高は、設計が12億7100万円、調査が7億2800万円、測量が1億3600万円の計21億3500万円となった。発注者別は、国が3億3300万円、県が11億3100万円、市が2億1200万円、町が1億9600万円などとなる。

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