環境DXを確立へ ソーラーパネル廃棄の一括管理(関東道路)

[2022/6/22 茨城版]
 関東道路(筑西市、武藤正浩代表取締役)は20日、水戸市内で記者会見を開き、ソーラーパネルリサイクルプラットフォーム(SRP)の概要と環境DXによる次世代事業について説明した。SRPは、ソーラーパネルの廃棄問題などに対応するため、同社が昨年取得した情報処理技術に関する特許を活用し、参加企業が連携しながら解体からリサイクル、処分などにまで一括管理するもの。国内の再生可能エネルギー推進と新たなビジネスネットワークを構築し、環境DXの確立による持続可能な循環型社会の形成を目指すとした。運用開始は来年春ごろを予定する。

 国内では、09年に余剰電力買取制度が始まったあと、12年施行のFIT法(固定価格買取制度)により、ソーラービジネスが一気に加速した。その後、買い取り価格の低下などもあったが、昨今のカーボンニュートラルへの取り組みや燃料高騰などを受け、ソーラー発電を中心とした再生可能エネルギーへの転換が急務となっている。

 一方、ソーラーパネルの寿命は初期のもので10年から20年、現在でも20年から30年ほどと言われ、環境省の試算によると、ソーラーパネルの廃棄は10年後に約80倍の年間約80万tとなり、ピーク時には140万tを超えると予想されているという。今後はソーラーパネルの廃棄が大きな問題となることが予想され、環境省などを中心にソーラーパネルのリサイクル法などの法整備が検討されている。

 ソーラーパネルの廃棄については現在、排出した業者がパネルや金属、瓦礫などの中間処理業者と個別に見積もりを行っている状況にあり、売却や処分のできない部材については不法投棄の温床になることも懸念されている。

 同社が構築するSRPは、関係企業による協力体制を整え、ソーラーパネル排出事業者からの解体・廃棄の流れを一元管理するというもの。不法投棄を無くすため、全ての部材をリサイクルや適正な最終処分を適正価格で受けられるプラットフォームを構築し、これをもとに再生可能エネルギーの推進と新たなビジネスネットワーク整え、環境DXとして確立する。これにより、どこで何を処分したかというフローの透明化が図られるため、不法投棄を無くすことができるほか、事業者には事業後の土地処分や運用などのコンサルティングも提供するなど、安価で確実なリサイクルと太陽光発電事業の継続に対する安心安全を提供する。

 武藤社長によると、同社が開発した再生合材「エコファルト」が17年度の「廃棄物・浄化槽研究開発功労者表彰」で環境大臣表彰を受けたことなどから環境省との接点もあり、ソーラーパネルの廃棄に対する懸念を共有していたという。こうした経緯から、相場情報などを加味したソーラーパネルの処理費用を見積もる「情報処理装置、情報処理方法及びプログラム」の開発に着手し、昨年夏に特許を取得した。

 このシステムは23年2月ごろの完成を予定し、春ごろにもSRPの運用を開始する。現在は20数社の産廃業者や金融業者、商社などからの打診があるもようだ。当初は本県と栃木県でのスタートとなるが、将来的にはSRPによる情報処理システムを全国展開し、全国ネットワークの環境DXを構築する考えだ。

 問い合わせは同社リサイクル事業本部(電話0296-34-1211)まで。

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