事業者が協定辞退 Recampと協議検討へ(砂沼サンビーチ跡地)

[2022/6/29 茨城版]
 県としもつま・まちづくり公社(下妻市、大島浩代表取締役)が進めていた砂沼サンビーチ跡地でのアウトドア複合拠点設置管理運営事業について、24日付で同公社が基本協定を辞退したことが分かった。計画は白紙となったが、県は砂沼サンビーチ跡地活用の方向性については、変更しない方針を明示。今後は、昨年度に実施した公募で次点の提案に選ばれていた事業者Recamp(東京都目黒区)に事業の打診を行い、協議を進めていく。協議が順調に進めば、既存施設の解体にも着手する見通しだ。

 しもつま・まちづくり公社は代表団体に塚田建材、総合建物サービスとドリームガーデン、大島電機、社会福祉法人やはた福祉会、あおば、井上フードの7社で構成。事業コンセプトは「砂沼フェスティバルフィールド」とし、跡地にキャンプ場やグランピング、アスレチック、温浴施設、飲食・物販施設などを整備する計画であった。

 辞退の理由として同公社は、「下妻市が隣接する土地において、類似施設の導入を目指していることが分かり、長期的に事業を展開するにあたり、競合リスクになりうると判断した」と説明。続けて、「砂沼サンビーチ跡地の活性化をはじめとした砂沼広域公園活性化への思いは、地元下妻市に託し、見守りそして応援していく」とコメントしている。

 同公社が指摘する隣接地とは、下妻市開発公社が所有する石の宮地区の工場跡地約3haを指す。下妻市企画課によると、同地の事業化は未定だという。また、整備を行う際には、サンビーチ跡地の開発を見守った後に着手し、砂沼全体で相乗効果を生むようなものを想定する。同公社に対しては、競合するものではないと説明していたという。

 今回の辞退に対して、県地域振興課ではサンビーチ跡地の開発について、方向性は変更せず、整備を進めていくことを決定。事業者については、昨年度に実施した公募で次点に選ばれていたRecampと協議を開始することにした。

 なお、Recampの公募時の提案は、キャンプとアスレチックを中心にしたアウトドアの複合拠点という提案だったという。今後は協議の中で事業内容を決定し、その後、既存施設の解体・撤去に着手するスケジュールとなる。 

 県の担当者は「県と下妻市は、まずは砂沼サンビーチの跡地をきちんと再生させることを第一に考えていくという認識でいる。辞退は残念だが、地元の方もさまざまな思いがあると思う。今後も協力し、盛り上げてもらいたい」と話した。

 砂沼サンビーチは1979年7月に県開発公社が整備を実施。敷地約5ha内には、施設管理棟をはじめ、ウォータースライダーや流れるプールなど10種類のプールを配置する。2009年4月に県開発公社は下妻市に施設を無償で譲渡した。しかしその後、施設の老朽化に加えて入場者数の減少を受けて、市は19年3月に施設を廃止。用地は県が所有することから、県は20年秋に利活用に向けた調査を行った。

 その結果、プールとしての再生は全国的な市場縮小や民間事業者の進出意向がなく、整備は困難と判断。効果的な利活用として、市場性や収益性、地域貢献の観点から高規格なキャンプ施設が最有力と結論付けた。さらに、砂沼の特性を活かし、本格アスレチックと水上アクティビティ、ランニングステーションの複合型アウトドア拠点が効果的だと提示した。

 この調査結果に基づき、県地域振興課は昨年にアウトドア複合拠点の整備・運営を行う事業者の募集を実施。事業内容では、▽跡地利活用調査で示した「都心近傍の湖畔における広々として高質なアウトドア拠点」というコンセプトに合致すること▽持続可能な事業スキームのもと、近隣施設と連携し、オールシーズンで賑わいを創出するとともに、地域経済への貢献や周辺環境への調和を図ること──の2点の方向性を踏まえることを要求。公募する施設の必須提案はキャンプ・アスレチック施設の整備・運営とし、任意提案は水上アクティビティ用桟橋の整備・運営管理とその他関連施設としていた。

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