検査体制の統一化 工事書類標準化ガイドを作成(県検査指導課)

[2022/9/15 茨城版]
 県検査指導課がこのほど、県土木工事書類標準化ガイド案を作成したことが分かった。このガイドは県土木部が発注する土木工事の関係書類について、標準的な仕様を示すと共に簡素化を図るための方法を紹介している。具体的には、施工体制台帳の添付書類の提出は必要最小限とすることや、創意工夫・社会性等に関する実施状況は最大でも10項目までに限定することなどを盛り込んだ。同課ではこのガイドを活用することで、県内での検査体制の統一を図り、受発注者で円滑な検査の実施に取り組む考えだ。また、このガイドの作成とあわせて、本年度の検査書類限定型モデル工事の実施要領も示した。それによると、本年度はASPを活用した土木工事100件程度での試行を予定するという。いずれの取り組みも10月1日からの適用を予定している。

 工事書類標準化ガイドは、工事書類の標準的な仕様を分かりやすくまとめるとともに、記載する必要範囲を定めたものとなる。これにより、事務所毎の書類作成のバラツキを無くし、検査体制の統一を図っていく。あわせて、このガイドを活用することで、インフラ分野のDX推進や働き方改革の推進などの効果を期待している。ガイド案の作成にあたり、国土交通省の土木工事電子書類スリム化ガイドを参考にしたという。

 ガイドで言及する項目は、▽書類は原則電子化▽コリンズ登録は書類不要▽施工計画書▽設計図書の照査▽工事測量成果表・工事測量結果▽下請負人通知書▽施工体制台帳▽建設業退職金共済証紙▽再生資源利用計画書(実施書)、再生資源利用促進計画書(実施書)、建設廃棄物処理計画書(実施書)▽材料使用届▽工事打合せ記録簿▽関係機関協議資料▽近隣協議資料▽ワンデーレスポンス▽臨場確認(段階確認、確認立合、材料検査)▽材料検査▽休日・夜間作業届▽工事事故報告書▽工事履行状況報告書▽産業廃棄物管理表(マニフェスト)▽排出ガス対策型・低騒音型建設機械の写真▽安全教育・訓練等の実施状況資料▽現場環境改善の実施状況▽創意工夫・社会性等に関する実施状況▽出来形・品質管理▽工事写真▽工事検査──と多岐に渡っている。

 例えば、施工体制台帳では、添付資料の提出は必要最小限と定めた。これは施工体制台帳の範囲を明確に示し、建設工事の請負契約に該当しない警備業務や資材納入、運搬業務、測量業務などについては、作成の必要はないと示した。

 なお、標準化ガイドの詳細については、9月下旬にも検査指導課のホームページで掲載する予定となっている。

 検査書類限定型モデル工事では、働き方改革の一環として、完成(中間)検査時に必要な書類を限定し、受注者における説明用資料などの書類削減や、監督員と検査員の重複確認を避け、より効率化を図ることを目的とする。このモデル工事の取り組みは20年度から開始。実施件数は20年度が25件、21年度が50件となっている。

 実施要領をみると、対象は今後発注する工事および現在施工中の工事で、請負額3000万円以上のASPを活用した土木一式工事(営繕工事除く)。件数は各事務所とも昨年度の2倍に設定し、合計100件程度で実施していく。また、10月以降に検査を実施する本課発注工事はすべてが対象となる。

 試行内容は、これまで検査時に確認していた書類の数を約40種類から7種類に限定する。具体的には、▽施工計画書▽施工体制台帳・体系図(下請引取検査書類(提示)含む)▽工事打合せ簿▽出来形管理図表▽品質管理図表▽材料品質証明関係資料(材料使用届等)▽工事写真──の7種類となる。

 これらの書類は原則、電子化するものとし、電子化した書類をASPで検査する。また、前記の書類以外については、監督員が「施工プロセスチェックリスト(土木試行)」を検査前に検査員へ提出し、チェック内容を説明する流れとなる。

 この試行のメリットとして、検査の簡素化が挙げられる。概ね3時間程度の検査が1時間半から2時間程度に短縮できる。これまでに実施したアンケートでは、受注者から検査時間の短縮により、現場の施工管理に集中できるという回答もあったという。

 今後はアンケート調査を踏まえながら、拡充に向けて準備を進め、将来的にはこの方式が標準化になるよう取り組んでいく考えだ。

 なお、このガイドとモデル工事の周知のため、県検査指導課では、県職員と県建設業協会員を対象に説明会を開催している。6日から22日にかけて県内全域で説明会を行う予定だ。

 県検査指導課の担当者は「検査書類の作成については今後、標準化ガイドをルールブックとして、受発注者双方が共通認識として取り組んでもらう事を期待している。また、ガイドには遠隔臨場をはじめとする新しい取り組みも盛り込んでおり、DXの推進に向けて活用してほしい」などとコメントしている。

 詳しい問い合わせは、県土木検査指導課建設工事・検査担当(電話029-301-4379)まで。

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