国道245号で線形変更 都計審 久慈大橋の架替に向け審議

[2022/10/13 茨城版]
 県都市計画審議会(会長・中川喜久治県商工会議所連合会副会長)は7日、県開発公社で第2回審議会を開催した。今回は付議案2件を審議。水戸・勝田都市計画の道路の変更と、日立都市計画の道路の変更について、いずれも「原案のとおり可決」とした。内容としては、国道245号の久慈川に架かる久慈大橋(東海村豊岡~日立市留町)の架け替えについて、当初の予定よりも下流に設置するため、国道245号の線形を変更するものとなる。なお、今回の内容は同日付で県知事に答申した。

 今回の審議を付議案順に見ると、都計諮問第3号では、水戸・勝田都市計画の道路の変更として、照沼豊岡線の一部区間の線形を変更し、延長約5910mから約6150mとする。また、同4号では、日立都市計画の道路の変更として、留水木線の一部区間で延長約4880mから約4850mに線形を変更することを審議した。

 これらの2件はいずれも、県で整備を進めている久慈大橋の架け替えに関連するもの。当初計画していた場所よりも下流に橋梁を整備することになったため、道路の線形を変更する必要が生じ、都市計画の変更を行うことになった。

 久慈大橋は久慈川を渡河する延長368mの長大橋で、常陸港常陸那珂港区や日立港区をはじめ、沿線に立地する企業、工場、研究所などを連絡する重要な役割を担う。しかし、この橋では施設の老朽化と慢性的な渋滞が問題となっている。

 老朽化については、1963年の架設以来、60年近くが経過し、損傷が進行。高萩工事事務所で定期的に修繕を実施しているが、海に近く潮風による腐食の影響を受けやすいため、被害が進行している。法定点検の結果によると、構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に対策を講ずべき状態にあると判断された。

 また、渋滞については、久慈大橋周辺の交通量は、1日あたり約2万2000台から2万4000台となる。久慈大橋の前後区間は、すでに4車線化で供用を開始しているのに対して、同橋が2車線であることがボトルネックとなり、慢性的な渋滞を発生させている状況にある。

 そこで、県では課題解決に向けて、19年度から4車線の橋梁に架け替えることに着手した。これまでに橋梁や取付道路の詳細設計を実施。なお、橋梁の詳細設計は長大(東京都中央区)が担当している。

 今回の都市計画の変更では、新しい橋梁の架設位置を現在の橋梁の下流側に少しずらすルートに線形を変更する。このルートを選定した理由として、都市計画決定された位置で施工する場合と比較して、より早期の4車線化とコストの削減が可能なことを挙げる。

 このうち、早期の4車線化では、下流に少しずらして整備することで、新橋の架設中は旧橋を利用できることを指摘。これにより、新橋は2車線ずつの分割での工事ではなく、4車線の車道と両側歩道を一体的に整備していく。その結果、4車線の供用が現行ルートで整備するよりも約3年近く短縮することが可能になるという。

 また、コストについては、河川の中の工事をまとめて実施できることや、現行のルートに隣接するため、工事の延長も短くしており、無駄な支出を抑えると説明。その結果、旧橋の撤去も含めた事業費は、現行ルートが133億円なのに対し、新ルートでは105億円となり、28億円の削減が期待できるという。

 東海村で開催した公聴会では、県の変更案ルートではなく、より下流側に新橋を架け替えたほうが、集落を守る防波堤の機能が期待できるという意見が出た。これに対して県は、豊岡地区の海岸には、東日本大震災を受けて着手した防潮堤がすでに完成しており、想定する津波にも対応できる状況にあると説明。あわせて、この意見では事業費が大きく増加となるため、県の提案したルートが妥当だと回答したという。

 審議では、線形変更は渡河部のボトルネックを解消するために必要な事業との意見が出た。また、旧ルートの活用方法や用地買収の必要な筆数、4車線化による交通量の変化などについて質問が寄せられた。

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