大和リースらを選定 千波公園のパークPFI事業(水戸市)

[2022/12/1 茨城版]
 水戸市はこのほど、千波公園におけるパークPFI制度を活用した事業者の公募について、設置等予定者に大和リースを代表企業とする大和リース・アダストリアグループを選定した。同グループの提案では、公園内に新たにマルシェや物販施設、カフェ、スポーツラウンジなどを整備していく。今後は12月中にも市と基本協定を締結し、新施設整備に向けて新施設の設計や建築確認などの準備を進めていく。順調にいけば、25年3月の供用開始を予定する。11月24日に開催した水戸市議会偕楽園・千波湖周辺整備等調査特別委員会で市が明らかにした。

 千波公園では、偕楽園公園とともにさらなる魅力の向上に向け、県との連携や官民連携により整備を進めている。整備にあたっては、16年度に策定した偕楽園公園(千波公園等)整備基本計画に基づき、市民の憩いの空間として、観光交流拠点として再整備を行う。

 再整備の際には、事業手法にパークPFIを採用。公募の対象区域は千波公園の一部である黄門像広場周辺地区で、面積は約1万7000平方m。なお、設置可能な建築面積の合計の上限は5000平方mとなる。

 公募には3グループが参加。審査の結果、選定委員会で10月31日に大和リース・アダストリアグループを選定し、11月7日に市で決定した。このグループは大和リース水戸支店(水戸市)を代表法人とし、アダストリア(水戸市)と横須賀満夫建築設計事務所(水戸市)で構成する。

 同グループのコンセプトは「場づくりをまちづくりにつなぐWell-being Park構想」を掲げる。個人としてのウェルビーイングと社会としてのウェルビーイングの実現に向けて千波公園で過ごす豊かな時間を創造し、水戸市のさらなる活性化を目指すとした。

 整備計画をみると、公募対象公園施設として、▽マルシェ▽物販施設▽カフェ▽レストラン▽ベーカリー▽スポーツラウンジ・サウナ▽交流スペース▽コンディショニングセンター▽アウトドア▽駐車場▽多目的コート──などを配置していく。整備する施設の延床面積は2044平方mと試算する。

 提案の特長として、偕楽園本園からの展望に配慮したことが挙げられる。偕楽園本園はこの地にしかない景観であるため、水・緑・景観の保存、埋設施設への配慮など、同地の環境を活かすことを計画の基本に設定。眺望を損なわない色彩の木造平屋の小規模建築を自然で繋ぐことや、各施設の高さを抑えて景観への影響を低減するよう工夫している。さらに、建物の外壁は自然環境に馴染むアースカラー、屋根は水戸の伝統染色である水戸黒をモチーフとした色彩とする。

 施設整備では、新規利用者の促進や、ユニバーサルデザイン、バリアフリーに配慮する。施設の中には自由に使える芝生の広場と多目的コートを配置。イベント利用にも対応し、多世代の交流やコミュニティ形成に寄与する新たな賑わい拠点とする。対象内の施設は好文茶屋のベーカリーへの改修を除き、すべて新たに新築することになる。

 選定委員会からは、敷地全体を公園化した全体的にバランスのとれた計画で、千波公園の魅力向上に大きく寄与すると評価された。また、既存樹木を活用した植栽計画や県産材を利用した高さを抑えた木造物の提案は、偕楽園からの眺望に配慮し、景観と調和のとれたデザインになっていると指摘。導入機能では、ブリュワリーレストランやフットサル、サウナが提案されていることについて、市民の日常生活と周辺地域からの集客が期待できると講評している。

 今後のスケジュールとしては、12月中に市と基本協定を締結し、設計や建築確認に着手する。詳細が決定すれば、23年末にも実施協定を締結。その後、着工となり、25年3月ごろの供用開始を目指す。

 市では千波公園のパークPFIにあわせて、レイクサイドボウル跡地の駐車場整備を進めている。これは、千波湖西側駐車場がパークPFIの対象内にあることを受けて、駐車場機能の一部をレイクサイドボウル跡地に移転する。駐車場の規模は210台程度を想定。現在は造成工事を進めている段階にあり、これから舗装やトイレの新築など、駐車場関連の工事を行い、23年度中の完成を予定している。

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