早期に中橋架け替え フォローアップ委 事業再評価は継続が妥当(渡良瀬川河川)

[2022/12/8 栃木版]

 国交省渡良瀬川河川事務所(檜森裕司所長)は、利根川水系渡良瀬川河川整備計画フォローアップ委員会(委員長・長尾昌朋足利大学工学部創生工学科教授)を開き、2017年12月に策定した渡良瀬川河川整備計画の第2回点検および渡良瀬川直轄河川改修事業の事業再評価を実施した。河川整備計画の今後の方針は、引き続き治水安全度の達成に向けて整備を加速していくほか、気候変動に伴う治水計画の見直しを検討していく。このほか、気候変動による水災害リスクに備えて流域全体での取り組みを促進し、水辺空間の確保に関する整備も継続する。事業再評価の今後の対応方針は、災害の発生および防止または軽減を図る必要性が変わっておらず、引き続き事業を継続することが妥当としている。

気候変動で治水計画見直しも

 委員会の冒頭、檜森所長は「渡良瀬川の河川改修は、下流より順次整備を進めている状況。最大の懸案となっていた中橋の架け替え事業も、過日起工式が執り行われた」と報告して、河川改修を取り巻く状況の変化に対応してしっかりと整備を進めていく決意を示した。長尾委員長も「きちんと整備が進められていくのか、社会環境や自然環境の変化に対応できるかどうかなどを確認したい」とあいさつした。

 渡良瀬川河川整備計画は、渡良瀬川本川と支川の桐生川、蓮台寺川放水路、旗川、秋山川、矢場川、多々良川、渡良瀬川(草木ダム)の直轄区間を合わせ、延べ76.9kmの必要な管理と整備事業を盛り込む。計画対象期間は概ね30年間とし、年超過確立30分の1から40分の1に相当する洪水による災害の発生の防止または軽減を目的とする。河川整備計画の目標流量は、高津戸地点で1秒あたり3300立方m、河道目標流量は同じく1秒あたり3000立方mとする。

 事業の進捗状況は、23年3月時点の予定として堤防の整備が区間延長約22.8kmに対し進捗率約19%、河道掘削が同じく約2.3kmに対し約26%、橋梁架替が3橋に対し約33%、浸透対策が約14.9kmに対し約15%、浸食対策が約32.2kmに対し約15%となっている。

 堤防の整備は下流部から順次進めており、渡良瀬川本川は秋山川合流点下流部が完了。支川秋山川は、引提による河道改修を実施して整備が完了している。河道整備は、対象とする流量を確保するために必要な箇所で河道掘削などを実施している。橋梁は、桁下高が確保されていない支川秋山川の大古屋橋を架け替えて、中橋も本年度から工事に着手した。

 環境整備事業は、地域における水辺の交流拠点、ネットワークの形成として、管理用通路(散策路)の整備および基盤整備などを3地区で実施している。「足利地区」は05年度に、「岩井地区」は19年度に整備が完了し、「五十部地区」は現在整備中。管理用道路は完了しており、坂路4カ所のうち残る1カ所を整備していく。

 当面の整備の予定としては、下流側から量的整備を進めるとともに、ネック箇所である中橋の改修を早期に実施する。堤防未整備区間の築堤をはじめ、流下能力確保のための河道掘削、浸透対策としての堤防強化対策などを実施し、五十部地区で現在整備中の水辺空間も引き続き実施する。

 コスト縮減の取り組みは、近傍の自治体の公共事業からの建設発生土を有効活用することで、約1.9億円のコスト縮減を図る。また、発生した伐採樹木を地域住民などに無償配布することで、運搬・処分費など約0.6億円のコスト縮減につなげる。

 さらに今回、河川整備に関する新たな視点として、気候変動への取り組みや流域治水プロジェクト、多段階の浸水想定図・水害リスクマップを盛り込んだ。気候変動への取り組みでは、21年4月に「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言の改訂版が公表され、過去に経験したことの無い雨の降り方も考慮したうえで治水対策の検討の前提となる基本高水を設定すべきことが示された。

 流域治水プロジェクトは、渡良瀬川流域治水協議会を立ち上げて、協議会で合意した取り組み内容を取りまとめて渡良瀬川流域治水プロジェクトを21年3月に策定・公表している。多段階の浸水想定図・水害リスクマップは、国管理区間を22年8月31日に作成・公表しており、今後は国管理河川以外の外水反乱や下水道などの内水氾濫も考慮した図を作成・公表していく予定としている。

 なお事業の投資効果は、全体事業(18~47年度)の費用便益比が9.2、残事業(23~47年度)が同じく8.9、当面7年(23~29年度)が12.1と算出した。貨幣換算が困難な効果としても、河川整備計画基本方針規模の洪水で渡良瀬川右岸40.4kmの堤防が決壊した場合、事業実施により最大孤立者数は約1万5842人から約1万4886人に、電力の停止による影響人口は約2万1646人から約2万0946人に低減される。

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