多賀駅で基本設計 当初予算 動物園内の病院を移転(日立市)

[2023/3/3 茨城版]
 日立市(小川春樹市長)は、1日開会の定例市議会に、23年度の当初予算案を提案した。一般会計の総額は724億2000万円で、前年度当初比0.6%のマイナスとなったが、人口減少対策や安全・安心のまちづくり、都市力の向上など、前期基本計画に位置付けた施策や事業を盛り込んだ。主な事業では、かみね動物園再整備事業でバリアフリー園路や動物病院などの整備へ基本・実施設計に着手するほか、常陸多賀駅周辺地区整備事業の駅舎や自由通路の基本設計、ひたちBRTでは第III期事業へ予備設計に着手する。北部消防署では移転改築へ用地費や基本・実施設計委託料を計上し、リハビリ施設整備の設計、日立風流物展示施設の整備へ設計や調査、日立特別支援学校では施設整備に向けて耐力度調査や測量などに着手する計画だ。

 一般会計に占める普通建設事業費は、前年度当初比27%マイナスの66億3843万円。清掃センターの基幹的設備改良工事会瀬スポーツ広場整備事業などの大型事業が完了する一方、次年度以降の着工に向けて設計などをまとめる事業が多く盛り込まれている状況だ。特別会計と企業会計を含めた総額は1221億9675万円で、水道事業会計が大幅に増加する一方、萬春園建設事業が完了した介護サービス事業特別会計の減少などから、前年度当初比0.6%のマイナスとなった。

 主な事業のうち、かみね動物園再整備事業では、バリアフリー園路および動物病院などの整備へ地質・測量調査や基本・実施設計に着手する。今回は、既存園路の急勾配となっている区間にバイパスを整備してなだらかな勾配とするほか、1969年建築の老朽化した動物病院は園内の空きスペースに移転して改築する。園路や動物病院の基本・実施設計には限度額258万円の債務負担行為(24年度まで)を設定するなど、総額5145万円を確保。設計は2カ年でまとめ、25年度に着工し、27年度ごろまでの供用開始を目指す。

 常陸多賀駅周辺地区整備事業では2億0882万円の事業費を計上し、東西自由通路の基本設計着手に向けて、今春にもJRとの協定を結ぶ見通しだ。この事業では、28年度中の完了を目指し、▽駅東口の広場整備▽東西自由通路・駅舎の整備▽南北アクセス道路の整備──などを行うもの。施設整備に当たっては、新たな「まちの顔」にふさわしい駅前空間をデザインするデザイン監修者を選定し、ワークショップなどを行いながらコンセプトの検討やグランドデザインをまとめているところで、このほど素案を公表した。グランドデザインは秋ごろまでにまとめ、市でも東口駐車場の基本設計や、駅周辺地区の駐車場配置計画の検討などに着手していくもようだ。

 新交通導入事業費には5777万円を予算化し、ひたちBRT第III期事業の予備設計や久慈町内のバス専用道路等整備工事などを行う。ひたちBRTはこれまで、13年3月に南側の第I期区間が供用を開始したあと、19年4月までに常陸多賀駅までの第II期ルートが運用を開始した。第III期ルートは、常陸多賀駅から日立駅までの約4kmで概略設計をまとめている段階で、今回の予備設計ではさくら通りから池の川さくらアリーナ間の約2.2kmを対象とするもようだ。市では、ルートの決定を含めて慎重に進めていくとしている。

 日立風流物展示施設等整備事業には3982万円を確保し、展示施設の整備では地質調査や測量、収蔵施設の整備では設計や地質調査、測量に着手する。既存施設の老朽化などから再整備の検討に着手。本年度は展示・収蔵施設の整備に向けて、乃村工藝社(東京都港区)による基本計画を策定している。計画によると、展示施設は市役所北側にある駐車場の一部スペースを活用して整備を行い、収蔵施設は市立宮田小学校に隣接する旧宮田幼稚園跡地を活用して整備する。収蔵施設については、23年度は実施設計に着手し、順調に進めば、24-25年度で建設工事を行い、25年度末ごろの用開始を目指す。

 北部消防署の移転改築には、用地取得や基本・実施設計などに事業費2億0230万円を確保し、このうち、基本・実施設計には限度額5420万円の債務負担行為(24年度まで)を設定している。この事業は、現在の日高3丁目から、日高小学校の南側の敷地6128平方mに移転して改築するもの。建設規模は設計の中で検討するが、多賀消防署(延べ約1700平方m)程度を見込んでいるもようだ。設計がまとまれば、24年度と25年度で工事を進め、26年度の供用開始を目指す。

 年度内に事業が完了する萬春園整備事業に関連し、地域リハビリテーションセンター整備事業として2557万円を予算化。3月末で廃止となる旧萬春園のデイサービスセンターを活用し、リハビリ拠点の施設を整備する。高齢化社会で課題となるリハビリ(機能回復、介護予防など)を行う拠点施設として内部などの改修工事を行う。また、介護サービス事業特別会計には、旧萬春園解体等工事費1億5023万円を計上し、既存施設の課体工事を進める。

 日立特別支援学校整備事業には1083万円を計上し、既存施設の改築や改修に向けて耐力度調査や測量に着手する。施設整備では、現在地での改築を行う計画で、4棟ある校舎のうち3棟は改築し、1棟は長寿命化工事を進めていく。設計は24年度ごろにまとめ、25年度から数年かけて工事を行うもようだ。

 商店街活性化事業には5798万円を予算化し、(仮称)まちなかにぎわい交流施設の整備へニーズ調査や基本・実施設計に着手する。この施設は、けやき通りに立地する5階建ての旧宴会場(寿々木)の寄付を受けて、にぎわい創出に向けた施設整備を行うもの。新年度は、ニーズの調査やプロポーザルによる設計を進め、24年度に着工し、25年度の供用開始へ準備を行う。

 このほか、シーサイドツーリズム推進事業として2928万円を予算化し、河原子町から鮎川町までの約3km(幅員約4m)の日立電鉄線跡地と活用してサイクリングコースの整備に向けた実施設計をまとめる。24年度に着工し、25年度の供用開始を目指す。

 市道3509号線改築事業では、延長200mの工事費などに1億0590万円を予算化するほか、常磐線隣接区間の整備に向けて総額6億7257万円の委託負担金を継続費(23-27年度)に設定する。スポーツ拠点施設整備事業では、(仮称)南部スポーツ広場基本計画策定業務委託料を予算化し、市南部地域へのスポーツ広場整備に向けて建設地や内容などを検討する。

 市民運動公園の野球場改修計画については、補助の内示を待って6月定例議会にも補正予算で事業費を計上する計画だ。

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