件数、金額とも減少 昨年度の工事動向 本年度は堅調に推移する見通し(東日本保証)

[2023/6/8 栃木版]

 東日本建設業保証栃木支店は、前払保証工事から見た2022年度の県内公共工事動向をまとめた。県内を工事場所とする公共工事は件数が4444件、請負金額が1822億円で、前年度から件数は0.6%、請負金額は5.0%それぞれ減少した。令和元年以降で最少となった主な要因は、請負金額で国が11.4%、市町が9.0%減少したことが影響したため。一方、本年度の県内公共工事については、自治体を中心に堅調に推移すると分析している。なお前払金保証制度は、大田原市が22年度に支出限度額を廃止するなどの改正を行ったことで、限度額を設けている市町村はゼロになった。=3面に前払実施基準等一覧

 国については、国交省関東地方整備局が新4号下平出国道横断函渠設置工事の反動減などにより、請負金額で85.7%減少した。また下館河川事務所も、鬼怒川関連工事の減少で69.6%減少。宇都宮国道事務所は、国道4号関連工事の減少で前年度から17.8%減少した。

 市町のうち、市は宇都宮市がLRT関連工事の反動減で12.7%減少したほか、下野市は南河内小中学校建設工事の反動減で71.6%、日光市はリサイクルセンター関連工事の反動減で53.0%それぞれ減少した。一方で町は、芳賀町のLRT関連工事が寄与し、町全体で4.7%増加した。

 県内公共工事の主要発注機関となる県土整備部は、件数が1733件で前年度から2.6%、請負金額が594億円で同じく1.2%増加した。特に栃木土木事務所は、小山栃木都賀線の道路新設工事や永野川の河川改良復旧工事が寄与し、39.3%の大幅増となった。

 また、烏山土木事務所は荒川の護岸工事などで16.6%、真岡土木は国道408号真岡南バイパスなどで11.7%それぞれ増加。逆に本庁は11.0%、鹿沼土木は10.5%減少している。

 このほか特徴的な動向として、独立行政法人等は水資源機構の南摩ダム関連工事の影響もあり、対前年度比8.0%増と増加傾向だった。その他の発注者は、那須地区広域行政事務組合や小山広域保健衛生組合などごみ処理事業を担う事務組合が89.2%減となり、減少傾向が目立っている。

 23年度については、県内自治体の普通建設事業費を見ると宇都宮市がLRT事業の反動減で前年度比34.6%の大幅減となるものの、市町全体では前年度並みの水準が確保されている。加えて、県の公共事業費の伸びがプラス6.3%となることから、同支店では本年度の県内公共工事が自治体を中心に堅調に推移すると見ている。

 前払金保証制度は、国や地方公共団体などが発注した工事の円滑で適正な施工を支援するため、当初に工事代金の40%を上限として受注業者に前払金を支払う制度で、本県では県と全市町が導入している。

 この中で、大田原市のみが支出限度額(1億円以上)を設けていたが、昨年の制度改正で10月1日以降の契約から限度額を廃止した。あわせて同市は、対象工事を請負代金額500万円以上から130万円以上に引き下げ、請負代金額50万円以上の建設工事関連業務委託にも適用している。

 なお、地方自治法で前金払いは請負額50万円以上から支出できるとされているが、50万円以上は宇都宮市と鹿沼市のみ。栃木市と佐野市、大田原市、矢板市、那須塩原市は130万円以上、足利市は130万円超となっており、このほか県と8市町が300万円以上、9市町が500万円以上と、大半は制限を設けている。

 業務委託の前払金は、那須塩原市以外で全て導入済み。宇都宮市と栃木市、佐野市、鹿沼市、大田原市、矢板市の6市は請負額50万円以上、足利市は50万円超から適用可能で、8市町が300万円以上、4市町が500万円以上。県と5市町は、設計・調査が300万円以上、測量が200万円以上としている。

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