収蔵施設で基本設計 日立風流物 展示施設は市役所北側に(日立市)

[2023/6/29 茨城版]
 日立市は、日立風流物の展示・収蔵施設の整備に向け、測量や設計などを進めている。計画では、収蔵施設を先行して整備し、4月には基本設計を荻建築設計事務所(水戸市)に委託した。24年度に実施設計をまとめたあと、25年度中の完成を目指して整備を進めていく計画だ。

 市を代表する文化財の一つである日立風流物は、操り人形を乗せた人力で移動するカラクリ仕掛けの山車で、現在は計4基が現存する。大きさは高さ約15m(横幅約5~7m)、重さは約5tあり、5層からなる正面の表館が左右に開き各層でカラクリ人形芝居が行われる。平和通りで4月に開催される「日立さくらまつり」では毎年1基が披露されるほか、7年に一度行われる「神峰神社大祭礼」では4基の山車全てが公開され、演目が披露されている。

 これらの山車は、公開時以外には神峰神社敷地内(宮田町)の収蔵庫に解体された状態で収容されている。この収蔵庫は昭和30年代に建築され、経年劣化や庫内や搬出入口の狭あいなどの危険性が指摘され、郷土芸能保存会などからも施設整備が求められていた。そこで、安全で効率的に保管する収蔵施設や常時展示・公開できる施設の整備を検討するため、20年度には10年間(21-30年度)を計画期間とする市文化財保存活用地域計画を策定した。この中の個別計画である「日立風流物保存活用計画」に基づき、展示・収蔵施設などの整備を進めることとした。

 22年度には、乃村工藝社(東京都港区)に委託し、基本計画を策定した。計画では、展示施設と収蔵施設を別々に整備し、早急な対応が必要となる収蔵施設を先行して整備を進める。

 計画によると、収蔵施設は市立宮田小学校に隣接する旧宮田幼稚園跡地を活用して整備を行う。施設規模は、1基当たりの必要面積を約100平方mとし、延べ約500平方m程度の施設を想定している。今後、24年度に実施設計をまとめたあと、順調に進めば24年度に着工し、25年度中の供用開始を目指すとしている。

 一方、展示施設は市役所北側にある駐車場の一部スペースを活用して整備を行う。本年度は、グリーン都市開発設計(日立市)に委託し、収蔵施設とともに測量を行っている。内部には、山車のレプリカなどを設置するほか、ギャラリーや休憩施設などの機能も設置するため、延べ面積は約1000~1500平方m程度を見込む。山車の高さが約15mになるため、建物も約20mの吹き抜けを設置するなど、見せ方にも工夫を行うもようだ。展示施設は、収蔵施設から2年遅れて27年度中の完成を予定している。

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