深程工区の河川改修 一級河川思川 来月から用地測量開始(鹿沼土木)

[2023/7/7 栃木版]

 県鹿沼土木事務所は、一級河川思川の深程工区の河川改修事業で、地元説明会を開催した。地域住民に事業の概要や今後の予定を説明し、用地測量への協力を得たことから、このほど用地調査等業務9件を指名通知し、14日に開札して8月から用地測量を開始する。整備の内容は堤防嵩上げや河道拡幅、河道掘削などで、水衝部はコンクリート護岸を配置。排水樋管4カ所と松原堰は改築し、橋梁2橋も架け替える。

 思川は鹿沼市、栃木市、小山市を流下し、野木町で渡良瀬遊水地に流入する延長77.8kmの一級河川。1951年から河川改修事業に着手し、国道293号小倉橋まで事業を進めてきた。
深程工区はこの直上流にあたり、流下能力が不足している区間があるため、関東・東北豪雨や東日本台風などの洪水で甚大な浸水被害が生じた。

 さらに、現在実施中の支川大芦川の河川改修事業が完了すると思川に流入する水量が増加するが、現況の河川断面ではその増加量に対応する事ができないことから、堤防の嵩上げや河道の拡幅、河道の掘削、および流水の阻害となる堰などを改築する。

 深程工区の事業区間は、国道293号小倉橋(鹿沼市亀和田町)から松原堰上流(同市深程町)までの延長約6000mだが、このうち小倉橋から東北自動車道までの下流側約2000mは計画流量を満たしているため、先行して上流側の河川改修を進めていく。

 今回測量に入るのは、東北自動車道から松原堰上流までの延長約4000mと、思川に入流する宮入川の合流点から中島橋上までの延長約600m。現地の状況に合わせた治水対策を行い、東日本台風と同規模程度の洪水が来ても溢れない計画とする。

 計画流量は、支川大芦川の合流点より上流(合流前)が1000立方m/秒、下流(合流後)が2100立方m/秒とする。計画確率規模は50分の1で、概ね50年に一度の割合で発生する洪水流量を目標に整備する。

 整備の内容は、堤防嵩上げや河道拡幅、河道掘削などを実施し、あわせて計画する河川断面を確保するため、堰や橋梁、水路などの改築を行い、水衝部などにはコンクリートの護岸を配置する。

 排水樋門は堤防嵩上げなどに伴い、接続する水路4カ所を改築する。出口部分にはゲートを設置し、逆流を防止する。松原堰は、転倒堰に改築。通常時はゲートを起こして取水を可能とし、出水時はゲートを倒して河川断面を拡大する。

 思川に流入する宮入川は、思川の逆流水に対応するため堤防を嵩上げする。この嵩上げに伴って、宮入川に架かる深程橋と中島橋は架け替えを実施する。

 同事務所は、先月の26日から28日にかけて閲覧形式の説明会を開催し、地権者128人のうち28人が訪れた。測量に立ち入る了解をもらったことから、今月14日には用地測量等業務の入札を開札する。

 スケジュールによると、用地測量を8月から開始して、河道拡幅部では10月から11月にかけて地権者と境界確認を行い、2024年の春や夏ごろから順次用地取得を実施する。また本年度は、一部で河川内の土砂の撤去工事も行いたいと考えている。

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