来年12月ごろ構想策定 「文化と知」の創造拠点 検討委が第1回会合(栃木県総合政策課)

[2023/8/2 栃木版]

 県総合政策課は1日、宇都宮市の県公館で第1回「文化と知」の創造拠点整備構想策定検討委員会を開催した。この委員会は、新たな県立美術館、図書館および文書館について「文化と知」の創造拠点としてふさわしい基本理念や整備方針を示し、整備計画などを整理する目的で設置するもので、今回は事務局の県から各施設の現状と課題や「文化と知」の創造拠点整備に係る県の考え方を説明した。今後は、2024年12月頃を目途に整備構想を策定し、引き続き6~7年程度の期間で設計および建設工事を実施する見通しとなっている。

 開会にあたり、福田富一知事は「3つの施設を一体的に整備することでより高い相乗効果が発揮され、新たな知が創造されるとともに、県内外から集う人々の出会いや交流がとちぎの新たな文化や知を生み出すことを大いに期待する」と述べた。

 続けて、 委員に「県のシンボルとして長く県民に愛される施設となるよう、それぞれの専門的見地、あるいは利用者としての視点からさまざまなご意見を賜り、構想の策定にお力添えを賜りたい」とするビデオメッセージを寄せた。

 このあと、委員の互選で委員長に宇都宮共和大学・宇都宮短期大学の須賀英之学長、委員長代理に文星芸術大学の田中久美子学長を選出。須賀委員長は「この施設は本県の文化と知の情報発信の拠点であり、県民の誇りとなる施設となるよう努力していく」と述べて、各委員の協力を求めた。

 議事は、各施設の現状と課題や「文化と知」の創造拠点整備に係る県の考え方を事務局から説明した。各施設の現状として、県立美術館は宇都宮市桜4丁目に1972年に建設され、築51年が経過している。建物はRC造地上5階地下1階建て、延べ6195平方mと普及分館が1712平方m。課題としては、建物・設備の老朽化やバリアフリー対応の不足、駐車スペースの不足、美術作品などの収蔵環境の悪化や収蔵スペースの不足などがある。

 また、県立図書館は宇都宮市塙田1丁目に71年に建てられ、築52年が経過。建物はRC造地上4階地下1階建て、延べ5320平方m(書庫面積含め6458平方m)となっている。課題は同様に建物・設備の老朽化やバリアフリー対応の不足、駐車スペースの不足のほか、資料の保存環境や保存状態の悪化や閲覧書棚・収蔵スペースの不足などとなる。

 県立文書館は、宇都宮市塙田1丁目の県庁南館内に設置されている。南館は86年建設で築37年が経過し、RC造地上5階地下2階建て、延べ5800平方mで、このうち文書館は1952平方mの規模となる。課題は展示スペースの不足やバリアフリー対応の不足のほか、県庁舎内にあるため館として認知されにくいことなど。このほか共通の課題として、利用者数の低迷やデジタル化への対応不足などがある。

 「文化と知」の創造拠点整備に係る県の考え方としては、受付や案内窓口など類似目的の機能や設備の共有や運営の効率化、来館者の相互利用の促進をはじめ、3施設共同展示などによる新たな展示表現の創出、3施設の相互連携による新たなサービスの創出、資料の総合利用による新たな「文化と知」の創造などを想定している。

 整備場所は、県内各地からのさまざまな交通手段によるアクセスに優れ、中心市街地に近接してまとまった県有地であることなどを踏まえ、宇都宮市中戸祭1丁目の県立体育館跡地を計画する。敷地面積は3万3630平方mで、現在の美術館(1万2627平方m)と図書館(4786平方m)をあわせた面積の約2倍を確保でき、幹線道路(国道119号)からの視認性が高く3方向が道路に面していてアクセス性にも優れる。

 整備構想には、コンセプトなどを示す基本理念や整備方針、各施設の機能や役割といった事項のほか、今後の施設整備や施設の管理運営にあたっての基本的な計画についても盛り込む。並行してワークショップやアンケートなどで、県民からの意見を聴取。整備構想案を取りまとめたあとはパブリックコメントを実施し、寄せられた意見を反映させて、2024年12月頃を目途に構想を策定する。

 委員会の開催は23年度に4回、24年度に2回の計6回を予定。第2回では基本理念と整備方針など、第3回では必要な機能と役割と協議し、第4回で中間案を取りまとめる。引き続き、第5回は整備計画、管理運営計画、事業計画を取りまとめ、第6回で整備構想案を取りまとめる。

 なお、「文化と知」の創造拠点整備基本構想策定支援業務は、公募型プロポーザルで特定したPwCアドバイザリー合同会社(東京都千代田区、吉田あかね代表執行役)と昭和設計東京事務所(東京都港区、鳥居久人取締役所長)の2者共同企業体と、6月30日に4065万6000円で契約を締結した。委託期間は24年12月13日までで、「文化と知」の拠点としてふさわしい基本理念や基本方針を示すとともに、「文化と知」の創造拠点整備構想を策定するため▽構想の策定支援▽構想策定検討委員会等の運営支援▽県民意向調査の実施-を実施する。

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