洞峰公園の譲渡を妥当 県議会調特委 鹿島ビル売却も承認へ

[2023/09/28 茨城版]
 県有施設・県出資団体等調査特別委員会(田山東湖委員長)は25日、県議事堂で第3回会合を開催した。今回の議事ではまず、前回の会合で継続審議となった洞峰公園と鹿島セントラルビルの2施設を審議。その結果、同委員会は洞峰公園のつくば市への無償譲渡と、鹿島セントラルビルの民間売却を妥当だと判断した。続いて、国民宿舎「鵜の岬」や県民の森など9施設のあり方について、執行部から報告を受けた後、質疑を行った。

 審議の対象となったのは、洞峰公園と鹿島セントラルビル、国民宿舎「鵜の岬」、カントリープラザ「鵜の岬」、大洗マリンタワー、港中央公園、大洗公園、県民の森、植物園、森のカルチャーセンター、きのこ博士館の計11施設となる。

 委員会ではまず、継続審議となった洞峰公園と鹿島セントラルビルについて審議を行った。前回の論点や意見をまとめたうえで、執行部の考え方を明示した。

 審議の結果、洞峰公園の無償譲渡を妥当だと判断した。主な理由として、▽公園本来の位置付けが主として、ひとつの市町村の区域内の利用者を見込んだ総合公園であること▽無償譲渡は将来の維持管理費用の負担を県から市に変えるという性格を持ち、経費の前払いとも考えられること▽地元での説明会やアンケートの実施など、住民との話し合いや説明も行われていること▽公園を移管することによる市の財政面への影響についても、大きな問題はなく、市からの理解が得られていること▽議会への事前説明など、不十分な点はあるものの、現行制度に則り、手続きが適正に行われていること──などを挙げた。

 今後は県議会と市議会に都市公園条例改正に関する議案を上程し、議決を得た後に譲渡契約を締結する見通しとなる。

 鹿島セントラルビルの民間への売却についても妥当だと判断した。主な理由として、▽譲渡時期の見直しは、鹿島都市開発の財務状況の更なる悪化、ホテル従業員にとって不安定な状況が続くなどのリスクがあり、現段階での売却が妥当であること▽地元説明会や取引先説明会など、県民に対しての説明が一定程度行われていること▽現在の経営状況では、今後見込まれる新館の大規模修繕費用の捻出や、従業員への給与・退職金の支払いなど、経営に必要な運転資金の確保が困難になるおそれがあり、抜本的な改革が求められていること▽民間譲渡後、譲渡先のホテル事業が公募条件の5年経過後も継続されるよう、県が関わっていくという考え方が示されたこと▽移籍希望の従業員の声について、譲渡先に対して公募時に条件を設けるなど、県の考えが確認できたこと──などを挙げる。

 今後は10月にも公募を開始し、24年3月に優先交渉権者を決定。議会への説明などを経て同年9月末には譲渡する流れとなる。

 続いて、9施設の今後の方向性について、執行部から説明を受けた。このうち、国民宿舎「鵜の岬」については、民間活力の導入を検討していることを説明。本年3月に実施したサウンディング調査では、民間事業者からアウトドア施設やペット施設、飲食・物販施設などの提案があったという。今後は有識者の意見を踏まえ、収益構造の改善や大規模修繕への対応に向けて、経営ノウハウを持つ民間活力の導入など、運営手法を検討し、年度内を目処に対応方針を整理していくとした。

 また、大洗マリンタワーでも民間活用を検討していることを報告。サウンディング調査では、事業者から、屋外アクティビティ施設やペット関連施設の導入などの提案があったことを説明。今後は運営手法を検討し、年度内を目途に対応方針を整理していく方向性を示した。なお、大洗マリンタワーの活用とあわせて、港中央公園の今後のあり方も検討していくという。

 大洗公園については、パークPFI制度を活用し、大洗公園の再整備や管理運営を行う方向性を示した。その際には、こどもの城跡地についても大洗町と利活用の検討を進めていく。なお、本年6月に公募を行った大洗公園沿岸部でのパークPFIの公募については、参加者がゼロのため、取り止めとなっている。今後は、現地見学会に参加した事業者らにヒアリングを行い、取り止めとなった要因を分析したうえで、方針を決定していくという。

 県民の森と植物園、森のカルチャーセンター、きのこ博士館については、一体的なリニューアルに向けて、検討を進めている段階にあると報告。今後は基本計画に着手する予定となる。その際には地元のニーズや民間事業者のノウハウ、那珂IC周辺に整備する道の駅との相乗効果などを踏まえながら整備を進めていく。

 これまでの総括として田山委員長は、全部民間に任せれば良いという考えが先行しているように思えると指摘したうえで、「県有施設の意義を再確認し、施設と出資団体のあり方について基本的な考え方をもつことが大切だと思う。議論にあがった施設の売却と譲渡については、経費が主眼となった判断だが、損得や合理性だけでは判断できない行政の一面や、政治の存在を執行部にはしっかりと認識してほしい。また、事業を進めるにあたっては、地元や議会に対し、十分な説明や議論を行ったうえで、今後の方針を決定していくことを念頭に置く必要がある。議会としても、常任委員会での議論をしっかりと行い、気を引き締めて取り組んでいく」と所感を述べた。

 次回の県有施設・県出資団体等特別調査委員会については、11月8日の開催を予定している。

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