JR橋架替と断面拡大 永野川 来年度から9年で約75億円(栃木県河川課)

[2023/10/7 栃木版]

 県河川課は、一級河川永野川の栃木市大平町下皆川地先の河川改修事業に2024年度から着手するのを前に、6日からパブリックコメントの手続きを開始した。この事業は、JR両毛線橋梁の橋脚の断面阻害などで流下能力が不足していることから、橋梁の架替のほか、橋梁上下流の河川断面を拡大して湾曲部を解消し、浸水被害の軽減を図るもの。事業期間は32年度までの9カ年を予定し、総事業費は約75億円を想定している。

 永野川は鹿沼市上永野から、出流川・藤川・赤津川が合流して栃木市街地を流下し、一級河川巴波川に合流する流域面積172平方km、管理延長38.5kmの河川。令和元年東日本台風の際に堤防が決壊し甚大な被害が生じたことから、国道50号から県道栃木佐野線までの延長10.6km区間について、これまでJR両毛線の橋梁架替を除き災害復旧助成事業で整備を進めている。

 今回着手する事業では、永野川のさらなる安全性の向上のため、東日本台風で甚大な浸水被害が発生したJR両毛線橋梁を含めた0.6km区間で、橋梁架替とあわせて河川改修を実施し、浸水被害の軽減を図る。災害復旧助成事業の整備が完了する25年度以降、この区間の整備を速やかに進めるため、24年度から事業に着手して測量設計や用地調査を進める。

 事業の内容は、計画流量毎秒620立方mの洪水を安全に流下させるため、JR橋梁架替と河川断面の拡大を行う。河川断面は現状の約50mを、右岸側の引き提で約60~90mにまで拡幅し、湾曲部の解消を図る。河川断面の拡大による河岸・水際部の整備にあたっては、瀬や淵などを可能な限り保全・創出し、生物の生息・生育・繁殖環境の多様性に配慮する。

 工事内容は、掘削約3万6000立方m、築堤約2万1000立方m、護岸工約7200平方m、およびJR橋梁の架替1橋。計画確率規模は30分の1で、概ね30年に一度の割合で発生する洪水を安全に流下させるように整備する。

 永野川は、東日本台風と同規模の豪雨でも再び被害が発生しないよう、栃木市大平町地区から皆川城内町地区の10.6km区間について、20年3月に災害復旧助成事業の採択を受けて事業を進めている。JR両毛線橋梁の前後を除いて工事が着工か完了しており、25年度の事業完了を目指して引き続き残る橋や堰など構造物の改築工事を実施している。本年度は発注済みの両明橋と諏訪橋の工事を実施するほか、千部橋の下部工も本年度に発注を予定。また、榎本堰の改築も工事を実施している。

 この事業に意見のある人は、11月6日まで県県土整備部河川課企画治水担当へ意見を提出する。様式は任意となっており、住所、指名、電話番号を記載して、郵送やファクス、メールで送付する。

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