岸壁整備を国に要望 常陸那珂港区 建機輸出量増加へ対応

[2023/10/20 茨城版]
 大井川和彦知事は18日、国土交通省を訪れて、斉藤鉄夫大臣に茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区における水深14m岸壁の早期事業化を求める要望書を手渡した。今回の要望は、常陸那珂港区で建設機械の輸出量が増加傾向にあることを受けて、中央ふ頭E岸壁にRORO船の着岸が可能となるよう、岸壁の整備を行うために国に協力を求めるものとなる。今後は、10月の国土交通省交通政策審議会港湾分科会を経て、計画概要を告示する予定。その後、国が事業化すれば、県も国にあわせて、水深14m岸壁関連の整備を推進していく考えだ。

 要望には大井川知事や梶山弘志衆院議員らが参加し、大井川知事から斉藤大臣に要望書が手渡された。

 要望活動後に記者団の取材に応じた大井川知事は、今回の要望の趣旨を説明したうえで、「これまで常陸那珂港区の整備は、先行投資を行い、需要をつくるという事業であったが、今回の中央ふ頭整備は、需要に追いつくための投資となり、これまでとはまったく違った局面になった」と認識を示した。

 今回の要望については、同事業が非常に費用対効果の高いプロジェクトだと指摘され、斉藤大臣からも前向きな回答をもらったと説明し、「県では今後も要望活動を続けながら、常陸那珂港区のさらなる発展を目指していきたい」と語った。

 また、常陸那珂港区の将来像については、「運送業の2024年問題などを踏まえ、北関東自動車道から直接貨物を運べる常陸那珂港区の魅力が非常に高まると考えている。今後は東京、横浜に次ぐ関東の基幹の港として、発展することを期待している」と話した。

 要望の対象となるのは、茨城港常陸那珂港区の中央ふ頭地区となる。常陸那珂港区には建設機械の組立工場が立地しているが、近年の鉱山利用の需要の高まりを受け、東南アジアや北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど、世界各方面への輸出量が年々増加傾向にある。その結果、22年度には建設機械の輸出量が125万tとなり、過去最高を記録した。これに伴い、RORO船の入港への待ち時間が長くなっており、22年のピーク時には延べ324時間にも及んだという。また、輸出には大型の船舶が使用されており、荷捌き場の整備が求められている。

 こうした状況に対応するため、県では公共ふ頭計画や水資金施設計画、土地利用計画の変更に着手。その際には、整備方針として3つの案を提案し、妥当性があるかどうか比較検討を行った。その結果、建設機械をRORO船で運ぶためのターミナルを中央ふ頭に新たに整備する案を採用。なお、9月に開催した県地方港湾審議会では、概算事業費を約210億円と試算したと報告している。

 具体的な変更内容をみると、公共ふ頭計画では、C-E岸壁の水深15m(延長300m、貨物船用)を水深14m(延長330m、RORO船用)に変更する。これにより265mの船まで着岸することが可能となる。あわせて、国際的に重要な貨物を扱うため、大規模地震対策の整備も計画しているという。水域施設計画では、航路・泊地の水深15m、泊地の水深15mをそれぞれ水深14mに変更する。

 このほか、臨港道路3号線の配置を見直し、港湾関連用地と工業用地の土地利用計画を変更する。具体的には、土地利用の変更として、ふ頭用地を9haから10.3ha、工業用地を6.2haから0ha、港湾関連用地を62.7haから68.2ha、交通機能用地を19.7haから19.1haへの変更を行う。

 工事については、水深12m以上の岸壁とその背後50mを国が担当する。県では、その内側において、主に埋立てなどの工事を行っていく。工事期間については約10年間を予定しているという。今後は10月に開催予定の国土交通省交通政策審議会港湾分科会を経て、計画概要を告示することになる。その後、国で事業化が承認されれば、事業に着手する流れとなる。

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