遠隔臨場のガイド作成 宮城県土木部が業務効率化へ(日建連東北と意見交換)

[2023/11/25 宮城版]

働き方改革や生産性向上などについて意見を交わした

働き方改革や生産性向上などについて意見を交わした

 日本建設業連合会東北支部(勝治博支部長)と県土木部は22日、仙台市内で意見交換会を開催した。日建連は働き方改革の一環として、業務の効率化推進に関する取り組み状況を尋ねた。県は全ての土木工事を対象に遠隔臨場を標準化しており、受発注者向けに遠隔臨場のガイドブックを作成予定であることを紹介。遠隔臨場による中間検査・完成検査も検討している。

 意見交換会には日建連から勝治支部長ら10人、県土木部から千葉衛部長ら7人が出席。あいさつで勝治支部長は「安定的かつ持続的な公共事業予算の確保」「公共工事の円滑な施工の確保」「生産性の向上」「働き方改革と担い手確保への取り組み」の4項目について意見交換することを告げた。

 予算確保のテーマでは日建連が、県に対して公共発注予算の確保について見通しを尋ねた。

 県は国土強靭化を含めた公共事業予算の十分かつ安定的な確保について政府へ強く要望し、社会資本整備に必要な財源の確保に努めると回答した。

 円滑な施工確保の話題では、日建連が適切な工期を設定するための取り組みについて県に質した。

 県は4週8休や天候による不稼動日をあらかじめ考慮した標準工期を使用するとともに、必要に応じて工種ごとの作業能力や実施困難期間などを考慮した実工程の積み上げを行い、適切に工期設定していることを紹介。

 工期設定支援システムの活用は、本年度の目標を約150件とし、入札公告時における作成された工程表の参考明示と併せて、活用拡大に取り組んでいく考えを示した。

 日建連は市町村も含めた適正な工期設定のさらなる取り組み強化を要望。県は国が3月に公表した調査結果として、週休2日や年末年始などの休日を考慮していない県内市町村が22自治体あることを明かし、国から各自治体に対して4月に行われた適正化の要請を踏まえ、県としても適正な工期設定の要請を行っていくとした。

 生産性向上のテーマでは、日建連が建設DXとICT施工や、業務の効率化に向けた県の取り組み状況を聞いた。

 県は「ICT施工・3次元化等の活用提案」に関する昨年度の実績として、対象工事(178件)の約7割(124件)で提案が成されたことを紹介し、割合が年々増加していると知らせた。

 ICT活用に踏み込めない県内本社の企業に対しては、本年度から災害時にも有効なICT関連機器等の購入費について一部を補助していることを紹介。これまでに27件の補助申請が来ていることや、来年度も改めて申請を受け付ける予定であることを伝えた。

 業務の効率化について県は、22年度から全ての土木工事を対象に遠隔臨場を標準化しており、本年度は監督員1人当たり1件の実施を目標に取り組んでいることを告げ、さらなる活用を図るため受発注者向けのガイドブックも作成を進めていると明かした。

 遠隔臨場の実施件数は4月から9月末時点までで約40件と紹介。まだまだ少ない状況のため、現場が近くてもやむを得ず非常検査となる場合などに遠隔臨場を活用して促進を図るとした。ガイドブックでは遠隔臨場にスマートフォンが活用できることなどを盛り込む。

 働き方改革と担い手確保のテーマでは、日建連が週休2日の義務化や推奨モデル工事、交代制週休2日工事の適用拡大を要望した。

 県は週休2日工事の22年度実績について、発注者指定型が45件、受注者希望型が274件だったことを報告。本年度は発注者指定型を対象工事の約6割程度に当たる約200件に拡大した。

 来年度は原則全ての工事を発注者指定型で発注するとともに、交代制の導入でさらなる実施の拡大に取り組むと伝えた。

 意見交換の総括で千葉部長は、週休2日をしっかり進めなければいけないとしつつ、市町村の改善が進んでいない状況にあることから、市町村に対して行っているフォローアップのアンケート結果を基に「(各市町村の)状況に応じた支援を行っていく。建設部長や担当課長だけでなくレベルを上げて市町村に話しながら支援したい」と述べた。

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