中小企業の窮状訴える 宮城県と意見交換(みや中建)

[2023/11/29 宮城版]
wみや中建_県土木部との意見交換会p2 みやぎ中小建設業協会(みや中建、舩山雅弘会長)は11月27日、宮城県土木部との意見交換会を仙台市内のホテルで開いた。公共工事の発注量が減少する中、苦境に立たされている中小・零細企業の現状を訴えた。その中で、入札制度の改正や働き方改革への対応について、協会側の考え方などを伝えた。

 意見交換会には、みや中建側から舩山会長をはじめ、役員ら16人が出席した。土木部側は千葉衛部長のほか、巻博之事業管理課長ら事業管理課の職員7人が出席した。

wみや中建_県土木部との意見交換会p1 開会に先立ってあいさつした舩山会長は、建設業界が公共事業予算の減少、建設資材の高騰により、経営が圧迫される厳しい状況だと説明。それでも技能労働者への適正賃金の支払い、週休2日制への普及拡大などに取り組まなくてはならない窮状を訴え「これらの諸課題について、前向きな対応策などをご指導いただきたい」と願った。

 千葉土木部長は、宮城県の土木行政が防災・減災、国土強靭化や、既存インフラの耐震化などに取り組んでいる状況を説明。その上で「今日は幅広いテーマで意見交換させていただく。県としても大変重要な課題だと認識している」と応じた。

 意見交換会は、みや中建側が事前に提出していた質問・提言などに対し、県側が回答する形式で進められた。報道陣には意見交換会まで公開され、その後のフリートークは非公開で行われた。

 みや中建側は今回、入札制度や総合評価制度、働き方改革、書類の簡素化、設計変更や工期設定について、日ごろから課題となっている点を県側に伝えた。

 宮城県の土木一式工事における入札参加登録では、みや中建の会員が多いA~C等級の業者が86.7%を占めている。そのため、等級による業者比率を考慮して公共事業予算を配分するよう求めた。

 これに対して県側は、2022年度の発注実績で、A~C等級に発注した1億円未満の工事が約480件あり、全体の6割を占めたことを明かした。工事の内容によって細分化しにくいもの、分割できないものがあることに理解を求め、地域ブロックなどに配慮した受注バランスをとっていく考えを示した。

 建設ICTの活用が進む中、これらの活用は若年技術者の経験不足を補ったり、効率化・省力化など働き方改革にもつながる。これらの利点を踏まえみや中建側は、総合評価におけるICT活用、BIM/CIM活用をより加点するよう提言した。

 県側はこの回答として、総合評価では「働き方改革」の「生産性の向上」で「ICT施工.3次元化等の活用提案」の項目を設けていると説明。年々、活用割合が増えていることを受け、今後は加点状況や評価項目全体のバランスを考慮して、適切に制度を運用していく考えを伝えた。

 24年度から時間外労働の上限規制が厳粛化されるのを前に、みや中建側は書類作成などに技術者が多くの時間を費やしていることを訴えた。特に完成書類はいまだに多く、ファイリングなどが大きな負担となっている。これについて県側は、工事情報共有システム(ASP)の標準活用を進めていることを伝え、事務作業の簡素化のためにもASPを利用することを促した。

 建設DXの推進や建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入は、働き方改革につながる一方で中小・零細企業にとっては設備投資の面で負担が大きい。経費比率が上がることを懸念するみや中建側は、今後の経費比率の見通しについて県側の見解を求めた。また、下請工事では材工分離発注の傾向があり、材料経費と工事労務の一般経費率に違いがあることを元請に理解してもらえないという苦しい立場を打ち明けた。

 これについて県側は、国が行う施工合理化調査に基づいて経費比率を設定していることを伝え、国の動向を注視していく考えを示した。また、元請・下請関係については、下請承認時に不当な低価格での契約にならないよう、指導を徹底していく方針を伝えた。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.