北地区や田川を活用 西口整備懇談会 建築物を緑化・省エネ化(宇都宮市)

[2023/12/20 栃木版]

 宇都宮市は18日、第1回JR宇都宮駅西口周辺地区整備基本計画策定懇談会(会長・森本章倫早稲田大学教授)を開催した。今回の会議では計画策定に向けて、地区の現状や課題を整理し、将来像や取り組み方針について協議した。駅西口では公共が駅前広場を整備し、北地区の低未利用地の有効活用や高度利用による賑わいづくり、田川を生かした景観づくり、地区内建築物の積極的な省エネ化・緑化などを取組方針に盛り込んでいる。

 整備基本計画は、駅西口周辺地区の将来像(概ね2050年)を見据え、整備方針や駅前広場の整備計画(30年代前半のLRT開業時)などを盛り込む。対象範囲は▽駅前広場▽北地区(平面駐車場が区域の多くを占め、大規模な低未利用地が存在)▽駅前地区(駅前広場南側で、市街地再開発事業などの検討が行われているエリア)-となっている。

 計画では、官民一体となり駅とまちが一体となった居心地のいい空間を創出していく。北地区や駅前地区駅前広場等は民間、駅前広場は公共が整備し、駅前広場は交通基盤施設の配置、歩行者・自動車動線の設定、駅前空間の整備イメージなどを盛り込んだ整備計画を策定して施設の整備を行っていく。

 駅西口周辺地区の課題について、空間では▽低未利用地の有効活用や高度利用を行うなど、地区の活力や魅力向上を図る必要がある▽建築物の更新、良好な生活環境の創出▽駅東側の賑わいや人の流れを西側へつなげ、中心市街地までつながる官民一体の土地利用を検討し、ゆとりある歩行者空間や賑わい空間を創出する必要がある-とした。

 交通では▽LRT導入を見据えた自動車動線・歩行者動線を整理し、安全・安心に移動できる乗換環境を整備する(LRT開業時までに特に対応が必要)▽交通環境の変化に合わせた可変性のある空間づくりが必要▽自動運転等の次世代都市交通サービスへの対応を見据えた空間づくりの検討-を課題に挙げた。

 景観では▽田川や大谷石など宇都宮の地域資源を生かした景観形成▽統一感のある景観の形成▽LRTと沿線景観などが調和の取れたまちなみを実現する-が課題とした。社会状況では、▽バリアフリー化や再デザインの工夫、将来の変化に対応できるまちづくり▽省エネ化や緑化など、ゼロカーボン実現のまちづくり▽備蓄倉庫や浸水対策など、防災の視点による安心安全な環境の形成-が課題とした。

 これらの課題から、地区の将来像は、空間が「人中心の新たな駅まち空間」(車から人中心の空間へ転換し、賑わいあふれる居心地の良い空間を形成)、交通が「誰もが安全・安心に移動でき、多様なモビリティが連携した交通空間」(公共交通の利便性向上と自動車・歩行者の安全・円滑に移動できる空間を形成)、景観が「水と緑を生かした統一感のある景観形成」、社会状況が「社会変化に対応できる、人と環境に優しいまちなか」とし、県都の玄関口にふさわしい風格と賑わいあふれる「交通」と「まち・水・緑」が調和した人中心の居心地の良い空間と設定した。

 将来像の実現に向けた取り組み方針は、空間について▽東西自由通路の軸を中心とし、東西南北に人の流れがつながるような動線を結ぶ▽駅から田川までを駅まち一体の公共空間とし、憩いの空間を創出▽居心地が良くウォーカブルな空間とするため、人の滞留空間は地上部に創出▽北地区の賑わい創出へ、駅・大通り・北地区がつながるような動線を結ぶ-とした。

 交通については▽誰もが安全・安心に移動できるスムーズでわかりやすい乗換環境を創出▽将来を見据えた適切な交通空間の配置-に、景観については▽アイレベルでの景観に配慮した駅前空間を創出▽田川を生かした景観など宇都宮らしさを感じられる視点場・眺望を創出-、社会状況が▽多様化するニーズ等への柔軟な対応▽地区内建築物の積極的な省エネ化・緑化などの推進-としている。

 北地区は、活力創出ゾーン、駅前地区は暮らし・くつろぎゾーン、トナリエ宇都宮周辺を賑わい・交流ゾーン、駅前広場は交通・おもてなしゾーンに設定する。駅や東西自由通路、大通り北で駅から田川までの直線を滞留・歩行者軸に設定している。

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