佐野に共同指令センター 消防共同運用で 24年度は庁舎改修設計(佐野市と足利市)

[2024/1/17 栃木版]

 佐野市と足利市は、消防指令センターの集約化を計画し、このほど消防指令業務共同運用の基本構想をまとめた。それによると、2市の消防指令センターを佐野市消防本部庁舎に設置することとし、整備費に6億9920万円を試算した。今後は2024年度に指令システムや庁舎改修の実施設計、25年度にシステム整備や庁舎改修工事を行い、26年度から正式運用するとしている。

 近年、災害が複雑多様化して消防の効率化を追求する取り組みが重要となっており、佐野市と足利市でも「消防指令センターの共同運用に関する検討委員会」を設置して協議した結果、市民サービスの向上(ICT技術などを活用した高機能なシステムの導入、迅速・的確な対応、事故多発時や大規模火災発生時等における相互応援体制の強化など)をはじめ、共同整備による整備費・維持管理費の削減に効果があることから、消防指令センターを集約整備して共同運用することとした。

 この方針を踏まえ、消防通信指令施設の整備・運営方式、費用の負担割合などについて検討した結果をまとめ、消防指令業務の共同運用の基本的な方針となる基本構想を策定した。

 それによると、構成市は管轄区域が隣接して有効な応援・受援体制がとれること、両市消防本部が同様のシステムで運用していること、消防指令システムの更新時期が同時期で消防指令業務の共同運用に対する国の財政支援措置が有効に活用できることから、佐野市と足利市の2市とする。

 足利市の消防指令システムは01年に庁舎建設と併せて整備し、15年の消防・救急無線のデジタル無線の導入時に改修して、25年度を更新時期に予定していた。佐野市の消防指令システムは16年の庁舎建設と併せて整備したもので、25年度を更新時期として予定。ともに25年度を更新時期と予定していたことから、26年4月1日からの共同運用開始を目指す。

 共同消防指令センターの設置場所は、財政負担の軽減を図るため既存施設を活用することとした。足利市河南消防署庁舎と佐野市消防本部庁舎を対象に、建設年月日や共同消防指令センターに必要な指令室、事務室、仮眠室、設備などのスペースや改修費用を勘案して、佐野市消防本部庁舎に設置することを基本に計画を進める。

 整備費用は、概算で共通整備費用に5億9181万円、庁舎改修費用や機器移設費用に1億0739万円の、計6億9920万円を見込む。足利市消防本部指令室にある機器の移設は足利市が負担することとし、移設費用は3000万円と試算。消防指令センター整備に伴う佐野市消防本部庁舎の改修は佐野市が負担することとし、施設費用は7739万円と試算した。

 消防指令センターを共同で整備する場合、国の財政措置として、緊急防災・減災事業債(充当率100%、交付税算入率70%)を活用でき、両市の実質負担額を削減することができる。整備費用は今後、両市で十分な協議・検討を行い、消防指令設備等の仕様を確定して最終的な整備費用を決定する。

 運営方式は、「組織間の権限の移動がないこと」「共同消防指令センターで行った業務は、それぞれの消防本部が行った業務として効力を有すること」「職員の身分の変更がないこと」などを考慮して、協議会による方式を基本に計画を進める。現在は共同運用に向けた検討委員会を設置し、25年度には消防指令センター運用のための協議会を設立するとしている。

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