特定都市河川に指定へ 尾袋川・小田川など4河川

[2024/1/18 宮城版]
 宮城県南部を流れる阿武隈川水系の尾袋川および小田川流域を特定都市河川に指定するため、沿川自治体らで構成する「尾袋川・小田川流域水害対策準備会」の最終会合(5回目)が1月17日、角田市内で開かれた。指定に向けた法定手続きへの移行について、各自治体の首長らが同意した。国・宮城県の関係機関は1月19日から手続きを開始し、3月中の指定を目指す。

 尾袋川流域の尾袋川と高倉川、雑魚橋(ざつこばし)川および小田川の沿川は、2019年の東日本台風で流域が浸水するなど、近年はたびたび豪雨災害に見舞われている。流域治水に向けてハード、ソフト対策を加速するために、同水害対策準備会は特定都市河川への指定に向けて23年3月から会合を重ねてきた。

 最後の会合となった今回、沿川の白石市、角田市、大河原町、柴田町、丸森町の首長らと、国、宮城県の関係者らが出席し、指定に向けて考えを一致させた。

 今後は宮城県土木部らが主体となり、1月19日に関係自治体に対する意見聴取を開始する。その後、国と宮城県が協議を重ね、3月中旬に国土交通相の同意を得る予定。これを経て、3月末に特定都市河川に指定されたことを告示する。

 各河川の指定区域は、尾袋川が上流の角田市豊室字上平ほか~阿武隈川合流地点まで(延長9554m)。高倉川が、上流の角田市高倉字広田~尾袋川合流地点まで(延長1万0045m)。雑魚橋川が、上流の鬼平太川合流地点~尾袋川合流地点まで(延長2181m)。小田川が、上流の丸森町大張大蔵字高平~阿武隈川合流地点まで(延長1万2481m)。流域面積は4河川で計87平方kmに上る。

 特定都市河川に指定されると、河川整備の優先度が重視され、国から交付される補助事業費などが手厚くなる。これらの予算を活用し、河道掘削や築堤、遊水地の整備といったハード整備が加速する見込み。また、雨水の浸透が妨げられる宅地造成、駐車場整備、太陽光発電設備の建設などは、指定区域内では1000平方m以上の土地を開発する場合に許可が必要となる。

 指定後、24年度には沿川自治体や土地改良区ら関係機関が参画し、流域水害対策協議会を設立する。流域水害対策計画の策定に向けて、河川整備や避難計画など具体的な対策を検討していく。

 県内の河川では、大和町や大郷町などを流れる吉田川流域の26河川と、松島町などを流れる高城川流域10河川が23年7月に、東北では初めて特定都市河川に指定されている。

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