みぶ中泉の造成着手 新年度予算案 深山発電所改修に9億円(県企業局)

[2024/2/23 栃木版]

 県企業局は22日、2023年度第2回経営評価委員会(委員長・大森宣暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)を開催し、24年度当初予算案の概要を説明した。新年度も県政の重点事項である脱炭素化やDXの推進に向けた取り組みを推進するほか、老朽化した発電所の改修や水道施設・設備の修繕・更新、壬生町みぶ中泉地区や足利市久保田地区の用地造成事業などを推進する。深山発電所の改修には9億3887万円、鬼怒上水と鬼怒工水の薬品注入設備更新工事に1億4800万円を配分。みぶ中泉地区用地造成事業には17億6100万円を計上し、造成工事に着手して25年度中の予約分譲案内開始を目指す。

 新年度予算案は、経営の基本原則「企業の経済性の発揮」と「公共の福祉の増進」に資するよう、率先してカーボンニュートラルやDXに向けた施策を推進するとともに、企業局の情報や魅力を積極的に発信するなどの点に留意して編成した。

 収益的収支は、収益が72億3600万円、費用が68億0400万円で、損益が4億3200万円となる。資本的収支は、収入が27億4700万円、支出が52億1500万円で24億6800万円のマイナスとなるが、損益勘定留保資金などで補てんする。

 事業会計別で見るとは、電気事業は販売電力量に23年度から21.6%増の21万9952メガワット時を見込む。主な実施予定事業は、深山発電所大規模改修事業に9億3887万円、足尾発電所水圧鉄管等耐震補強工事に2億9700万円、東荒川発電所主要機器内部点検修繕等工事に1億4960万円、板室発電所主要機器更新等工事に1億1000万円、今市発電管理事務所集中監視制御装置更新工事に5500万円などとなる。

 施設の老朽化に伴う深山発電所の大規模改修事業は、20年度から事業に着手し、24年3月から現地工事を開始して25年6月の発電再開を目指す。24年度は主要機器や除じん機などの据付を実施する予定で、事業費の内訳は建設改良費が6億2780万円、撤去費が3億1106万円となる。

 このほか、とちぎふるさと電気では環境保全事業などに対する支援で1億1829万円を、地域振興積立金ではSDGsの達成に資する事業などに対する支援で7000万円を、それぞれ電気事業会計から一般会計などに繰り出す。地域振興積立金のうち、3000万円は県営水力発電収入を活用して、市町の実施する地域脱炭素促進事業を支援する。

 水道事業は、年間供給水量に北那須で23年度から0.9%増の1087万7000立方m、鬼怒で0.3%減の1104万4900立方mを見込む。工業用水道事業の年間基本供給水量は、前年度とほぼ同量の897万4620立方mで計画する。

 主な実施予定事業は、北那須水道事務所で(2系)薬品沈殿池コントロールセンター盤更新工事に6826万円、折戸調整池PCタンク内面塗装工事に1201万円、中央監視制御設備更新実施設計業務委託に3313万円、太陽光発電設備設置工事に1647万円を予算化している。

 鬼怒水道事務所は、薬品注入設備更新工事に1億2000万円、太陽光発電設備設置工事に7392万円、上水1系薬品沈殿池フロキュレータ更新工事に2980万円を計上し、鬼怒工業用水道も薬品注入設備更新工事に2800万円、太陽光発電設備設置工事に1622万円を盛り込んだ。

 鬼怒上水と鬼怒工水の薬品注入設備更新工事は、設置から20年が経過して不具合も生じていることから、設備を更新する。24年度は合計1億4800万円を計上し、薬品注入設備と貯蔵槽などの製作を行う。

 用地造成事業は、24年度の分譲予定がないものの、鹿沼インター産業団地で第2期予約分譲を受け付ける。主な実施予定事業は、鹿沼市鹿沼インター地区用地造成事業に3億5000万円、壬生町みぶ中泉地区用地造成事業に17億6100万円、足利市久保田地区用地造成事業に3億0300万円を計上する。

 みぶ中泉地区用地造成事業は22年度から基礎調査に着手し、23年度に事業実施が決定して壬生町と基本協定を締結したほか、用地調査や買収、実施設計を進めてきた。24年度は用地補償費14億2100万円のほか、委託料1000万円と工事費3億3000万円を予算化して造成工事に着手し、25年度中の予約分譲案内開始を目指す。

 施設管理事業のうち、賃貸ビル事業は賃貸収益が23年度から3.5%増加し、9214万円を見込む。主な実施予定事業は、県民ゴルフ場クラブハウスリニューアル事業に1265万円を計上。24年度はボイラー詳細設計業務を委託して省エネ機器の採用を図るほか、受変電設備の修繕や浄化槽ブロア更新など、25年度の完了に向けて事業を進めて行く。

 このほか、企業局のカーボンニュートラルの取り組みとしては、既設水力発電所の改修による増電力量の推進、太陽光発電の規模拡大をはじめ、施設の省エネ化やESCO事業による空調設備・照明設備の更新、地域振興積立金による市町の地域脱炭素化事業の支援などを推進する。

 DX推進の取り組みでは、デジタル技術を活用した水力発電所保守管理の高度化や水道施設に係る調書の電子化、ドローンを活用した保守管理の効率化などを推進する。

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