[2024/4/20　栃木版]

　県農業振興公社(青柳俊明理事長)の2024年度の事業計画によると、本年度は畜産・農用地等基盤整備事業に6億8495万円を計画している。このうち畜産担い手育成総合整備事業では、那須高原牧場地区の草地整備や栃木芳賀地区の牛舎建築工事などを予定するほか、新たに栃木那須地区の草地畜産基盤再編整備事業に着手し、本年度は草地整備や飼料畑造成などを計画する。また畜産環境総合整備事業では、茂木町の堆肥化施設「美土里館」の機能保に向けて、建物の修繕や設備の改修を26年度までの3カ年で実施する。

美土里館(茂木町)を3カ年で改修

　公社の公益目的事業のうち、畜産・農用地等基盤整備事業では畜産担い手総合整備事業を活用し、3地区で自給飼料の確保に向けた草地の造成整備を行うとともに畜舎の新設や鳥獣被害防止柵などの整備を行い、畜産農家の育成と経営の安定化を図る。

　本年度は、那須高原牧場地区や栃木芳賀地区を引き続き推進するとともに、新たに栃木那須地区に着手する。これら3地区をあわせ、畜産担い手総合整備事業の事業費には現段階で4億5855万円を計画する。

　栃木那須地区は、大田原市と那須町、那須塩原市の42.0haを対象に、基本施設の草地造成改良や草地整備改良、施設用地造成整備、および農業用施設の家畜保護施設(パーラー舎)整備や家畜排せつ物処理施設整備、隔障物(牧柵)整備などを計画する。事業参加経営体は12戸で、事業期間は24年度から28年度までの5カ年、全体事業費は10億円を見込む。

　本年度は基盤率を向上させるための草地造成をメインに、那須町で草地造成0.8haや草地整備7.3ha、那須塩原市で飼料畑造成5.0haを実施する。事業費は、那須町に2400万円、那須塩原市に2800万円の計5200万円を予定している。

　継続事業の那須高原牧場地区は、23年度繰越分2564万円で模範牧場の草地整備1.19haと鳥獣被害防止柵1754mを実施するほか、24年度分2600万円のうち、1200万円で模範牧場の草地整備10.0haと草地造成0.21ha、1400万円で大野放牧場の草地整備11.38haと草地造成0.33haを計画する。

　この地区は、大田原市の大野放牧場と那須町の共同利用模範牧場のいずれも公共牧場2施設が対象で、草地等造成改良や草地整備改良、鳥獣被害防止施設、雑用水施設整備、家畜保護施設整備、家畜排せつ物処理施設整備隔障物(牧柵)などを整備する。事業期間は20年度から25年度までで、全体事業費は2億9725万円。23年度までの進捗率は74.9％となっている。

　栃木芳賀地区は本年度、23年度の繰越分1億1988万円で、真岡市の牛舎1棟(RC造1195平方ｍ)、芳賀町の飼料畑造成0.5haと飼料畑整備3.6ha、市貝町の飼料畑造成0.99haと飼料畑整備8.04ha、水質汚濁防止施設(排水処理設備)および攪拌機械(ローダー1台)を予定する。

　また24年度分の2億3503万円では、真岡市の飼料畑造成2.5haと育成舎1棟(RC造517平方ｍ)、堆肥舎1棟(RC造300平方ｍ)、乾燥舎1棟(RC造514平方ｍ)、芳賀町の施設用地造成0.3haと育成舎1棟(RC造945平方ｍ)、堆肥舎3棟(RC造230平方ｍ×2、375平方ｍ×1)、飼料庫1棟(RC造324平方ｍ)、市貝町の飼料畑造成2.5haと飼料畑整備8.0ha、茂木町の飼料畑造成1.5haと飼料畑整備0.5haを計画している。

　この事業は、真岡市・益子町・茂木町・市貝町・芳賀町の70.16haを対象に、草地等造成改良や草地等整備改良、施設用地造成、鳥獣被害防止施設や隔障物(牧柵)、家畜保護施設整備、家畜排せつ物処理施設整備、飼料調整貯蔵施設整備、水質汚染防止施設1式-などを計画する。経営体は16人で、事業期間は22年度から26年度まで。全体事業費は、9億9800万円としている。

　畜産環境総合整備事業では、茂木地区で家畜排せつ物などを活用した地域リサイクルシステムを維持するため、茂木町が運営する有機物リサイクルセンター「美土里館」の機能の保全に向けた修繕や改修を実施する。

　事業期間は24年度から26年度までの3カ年で、全体事業費は6億6400万円。このうち24年度は2億2640万円を計上して、原料投入棟や円形発酵棟の建物修繕、円形発酵装置、二次発酵装置などの設備改修を実施する。

　公社は、美土里館改修のための設計・監理業務で23日に入札を実施する予定で、工事は7月もしくは8月頃の発注を予定する。このほか、畜産担い手総合整備事業の各種工事は夏以降に発注する見通しとなっている。