重要水防箇所が40カ所減 水防計画 洪水浸水想定区域は92河川追加(栃木県水防協議会)

[2024/4/25 栃木版]

 県や県議会議員、国土交通省関東地方整備局、陸上自衛隊、県市長会および県町村会の代表などで組織する県水防協議会(会長・福田富一県知事)は24日、2024年度の協議会を開催し、県水防計画の変更点を協議して原案の通り承認した。主な変更点は、重要水防箇所の変更や水防法の一部改正、洪水浸水想定区域の指定および公表河川数の増加など。重要水防箇所は23年度計画と比べ箇所数で40カ所、延長で9808mそれぞれ減少し、洪水浸水想定区域は92河川追加された。

 議事に先立ち、会長代理を務める谷英夫県土整備部長は、能登半島地震や台湾での地震に触れて「いつどこで大きな災害が起こるか分からない。本年もまもなく出水期を迎えるが、県水防計画を適切に運用し、水防管理団体である各市町との緊密な連携のもと、水防体制の強化を図りながら水防活動が円滑にできるよう万全を期していきたい」とあいさつした。

 水防計画は、県下における水防事務の調整やその円滑な実施のために必要な事項を、水防法第7条に基づき規定する計画。本年度の計画では、都市政策課や上下水道課など県の組織改編に伴う変更や水防法の一部改正のほか、重要水防箇所の変更と洪水浸水想定区域の指定などについて変更している。

 重要水防箇所は、堤防の高さが足りなかったり河川断面が不足していることで流下能力が低下している箇所など、水防上特に配慮が必要な箇所となる。水防計画では、現地調査をもとに必要に応じて見直しを行うとともに、関係機関からの意見も踏まえて記載内容を変更している。

 24年度の計画では、東日本台風の災害復旧工事の完成に伴い、堤防の築堤後3年が経過して堤体の強度が確保された箇所を38カ所解除したほか、河川改修で堤防高が確保されたことで3カ所解除した。一方、昨年の豪雨で溢水した那須烏山市小白井地内の荒川(塩谷)の水衝部、延長137mの1カ所を新たに指定している。

 これにより、県の管理河川は23年度水防計画の144カ所の延長7万2259mから、24年度は104カ所の6万2451mに、40カ所と9808mそれぞれ減少した。104カ所の内訳は、堤防高の不足が20カ所、堤防断面の不足が43カ所、堤体強度の不足が28カ所、水衝部が2カ所、漏水箇所が2カ所、工作物が9カ所となった。

 洪水浸水想定区域の指定では、21年7月の水防法一部改正により「洪水浸水想定区域」の指定対象が周辺地域に住宅や要配慮者利用施設などの防護対象がある河川に拡大されたことから、県では21年度から順次、防護対象がある河川を追加している。

 今回追加するのは、23年度に解析して告示が済んでいる県管理の92河川。これにより、県管理河川の洪水浸水想定区域は23年度水防計画の50河川から、24年度計画では142河川へと変更している。

 水防法の一部改正では、水防法や気象業務法の改正により都道府県知事が国土交通大臣に対し、国指定河川の水位を予測する過程で取得した都道府県指定河川の水位予測情報を求めることが可能となったため、23年8月10日付で関東地方整備局から栃木県への水位予測情報の提供に関する協定を締結している。今後はさらなる水防体制強化のため、出水データなどを共有し、国と県で連携しながらシステムバージョンアップを図る。

 このほかの変更では、簡易型河川監視カメラを姿川の入会橋(宇都宮市岩原町)で1基追加している。

 なお協議会では、23年度の公共土木施設の災害復旧についても報告された。6月豪雨(6月13~14日)では県管理の河川5カ所と砂防1カ所の計6カ所の復旧に、災害査定で5400万円が認められた。また9月豪雨(9月4日)では、県管理の河川13カ所と砂防2カ所、道路5カ所、および市町管理の河川3カ所の計23カ所に対し6億7900万円が認められ、それぞれ災害復旧工事を実施している。

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