［2024/4/25　茨城版］
　県企業局の当初予算は支出の部において、対前年度比26.5％減の758億9859万円となった。主な事業では水道事業の広域連携に向けて、基本協定の締結や新たな組織体制の調査検討に係る事業費5390万円を確保した。また、昨年度に引き続き、ひたちなか地区の工業団地とフロンティアパーク坂東の造成工事、県南西広域水道用水供給事業の統合による施設の整備などを実施していく。

　支出の部の内訳をみると、水道用水供給事業が昨年度と同規模の348億9892万円、工業用水道事業が同15％増の249億3822万円、地域振興事業が同65.9％の160億6144万円となっている。

　事業執行方針は、人口減少により水需要が減少し、経営環境が厳しさを増す中、県民のライフラインである水を安定的・継続的に供給するとともに、企業立地などによる地域振興を図ると定めた。具体的には企業局経営戦略を踏まえて、▽水道事業の経営基盤強化に向けた広域化などの推進▽安定的に工業用水を供給できる事業環境の整備▽デジタル化の推進と新技術の導入▽大規模災害に備えた危機管理対策の強化▽新たな工業団地の整備などによる地域振興──を方針として定めた。

　このうち、水道事業の経営基盤強化に向けた広域化の推進では、広域連携を進めていく。事業費には基本協定の締結と法定協議会への参画や、経営統合に向けた新たな組織体制の調査検討などに5390万円を確保した。本年度は引き続き市町村の意見を踏まえて、経営統合に係る諸課題について検討を進めていく。

　県南西広域水道用水供給事業の統合による施設の整備では、管路の実施設計や整備、増圧ポンプ場の実施設計委託料に27億2869万円を投じる。この事業は県南西地域の水需要の過不足を緩和することを目的に、県南地域から県西地域への水融通に必要となる施設整備を行うもの。具体的には水融通に係る管路やポンプ場の新設、更新などを実施していく。対象は県南・県西地域の18市4町1村とし、概算事業費は102億6800万円と試算している。進捗率は43.9％となる。

　新たな工業団地の整備による地域振興では、ひたちなか地区とフロンティアパーク坂東で造成工事を進める。このうち、ひたちなか地区では第1期と第2期拡張地区の造成工事費に87億5590万円を確保した。この事業はひたちなか地区に県施行で新たな工業団地を整備するもの。第1期の対象は約23haで総事業費約68億円、第2期は約38haで総事業費約102億円と試算している。第1期は25年度中に工事を完了させ、分譲を開始する。第2期については、本年度から造成工事に着手し、26年度中に工事を完了させる計画となっている。

　フロンティアパーク坂東では、造成工事などに64億9480万円を配分。対象は約70.3haで、総事業費は約185億円に設定。昨年度に引き続き造成工事などを進めていく。

　デジタル化の推進と新技術の導入では、霞ヶ浦浄水場への新たな高度浄水処理施設の整備に10億0304万円を投じる。導入する新たな技術の名称は「オゾン促進酸化処理」方式。これはかび臭気原因物質そのものを、オゾンと過酸化水素の強力な酸化分解力で、完全に分解する技術となる。同技術を導入した施設は全国で初となっている。20年度からは施設の整備に着手。整備を予定するのは、第1期施設であるオゾン接触池と、第2期施設である後砂ろ過池となる。昨年度には第1期施設が完成するとともに、第2期施設のろ過池築造工事に着手した。本年度には2期の電気設備と機械設備を発注する見通しとなっている。

　新技術の導入ではこのほか、工業用水スマートメーターの広域的な導入や、水道事業の広域化に係る経営統合に向けた新たなシステムの導入検討などを実施していく。

　大規模災害に備えた危機管理対策の強化では、管路の耐震化や広域水道事業間のバックアップ体制の強化、老朽化施設の改築・更新を行う。このうち、管路の耐震化には40億6059万円を計上した。この事業は管路326.5kmの耐震化を行うもの。全体事業費は641億4500万円に設定。進捗は57.7％となっている。

　広域水道事業間のバックアップ体制の強化には2億2400万円を予算化した。この事業は水戸浄水場-鹿島浄水場間を連結する緊急連絡管の整備を行う。全体事業費は17億1100万円となり、進捗は93.9％となっている。

　老朽化施設の対応については、鹿島浄水場の中央監視制御設備の更新に10億0454万円、水海道浄水場の設備更新に係るバックアップ施設の整備に4億2926万円を配分した。

　安定的に工業用水を供給できる事業環境の整備では、新たな需要に対する施設整備推進する。主なものでは、県南西広域工業用水道事業における圏央道インターパークつくばみらいへの配水管整備として、5億5440万円を確保している。