PFIも視野に調査へ 新ごみ処理施設の構想案(石巻広域行政組合)
[2024/11/29 宮城版]
石巻地区広域行政事務組合(理事長・齋藤正美石巻市長)は、新ごみ処理施設の整備に向けた基本構想案をまとめた。施設整備・運営の基本方針に「新たな処理システムの取り組み」など6つを掲げるとともに、施設規模の検討方針などを示した。事業方式の選定に当たっては、PFI等の導入可能性調査を実施することにした。新ごみ処理施設の供用開始は2034年度を目指す。
新ごみ処理施設は、石巻広域クリーンセンター(石巻市)が老朽化しているため、これに代わる施設として整備する。本年度は整備基本計画策定支援業務をパシフィックコンサルタンツ(仙台市青葉区)に委託した。
この業務はでは、3カ年かけて基本構想や基本計画の作成、適地選定などを行う。このうち基本構想案がまとまったことから、28日にパブリックコメントを開始した。12月12日まで意見を受け付け、年度内に基本構想を定める。
基本構想案では、施設整備・運営の基本方針に▽持続可能な処理と安定した経営▽災害に対する強靭性向上▽循環型社会・脱炭素社会の形成推進▽新たな処理システムの取り組み――など6つを掲げた。
持続可能な処理と安定した運営では、技術的に確立した処理方式、効率的かつ効果的な運営事業方式の採用、基幹的設備改良工事(長寿命化)によるライフサイクルコストの縮減を考慮する。
災害に対する強靭性向上では、東日本大震災での経験を踏まえ、災害発生時における被災した設備の早期復旧や、ごみの受け入れと処理の早期再開に必要な対策を講じる。
循環型社会・脱炭素社会の形成推進では、発電による廃棄物エネルギーの有効利用や処理後の残渣の資源化など、資源循環の強化を図る。
新たな処理システムの取り組みでは、可燃・不燃粗大ごみについてストックヤードを活用した効率的な処理により、資源化を推進する。併せて、プラスチック製品廃棄物の再商品化など、同組合組織の市町と連携し、将来のごみ処理システムの構築を検討する。
施設整備における検討方針では、施設規模について「循環型社会形成推進交付金等に係る施設の整備規模について(通知)」に基づくものとし、災害廃棄物処理量は施設規模の10%を上限に見込むものとした。
事業方式の検討方針では、PFI等可能性調査を行い、最適な方法を選定することとした。整備用地の検討方針では、3段階の比較評価を経て、適地を選定することとした。
今後のスケジュールは、2025年度に基本計画を作成し、26年度に適地選定を行う。その後、27年度~29年度に基本設計や造成設計をまとめるとともに、生活環境影響調査、PFI等可能性調査を進め、都市計画決定を経て、事業者を選定。30年度から工事を進める予定。
既存の石巻広域クリーンセンターは、石巻市と東松島市、女川町の可燃性一般廃棄物を処理する施設で、2002年12月に操業を開始した。敷地面積は約3・8㏊。建物は建築面積が6335㎡。処理方式は流動床式ガス化溶融炉。処理能力は1日当たり230t。元設計・施工は神戸製鋼所。
2022年度に示した整備手法案では、仮に既存センターと同じ処理能力や施設規模とした場合、建設事業費が194億2430万円と推計している。
ただし、処理方式や建設場所などがまだ決まっておらず、昨今の物価高騰などを踏まえると事業費も大幅に変わることが予想される。
同組合は、石巻市、東松島市、女川町の2市1町で構成。ごみ処理施設(石巻広域クリーンセンター)やし尿処理施設の管理運営、常設消防などを担っている。