砂防・急傾斜で18億円 事業概要 三河沢ダム進入路工事に着手(県砂防水資源課)
[2025/5/1 栃木版]
県砂防水資源課は、2025年度の砂防施設づくり事業の概要を明らかにした。砂防事業50カ所、急傾斜地崩壊対策事業27カ所とソフト対策事業をあわせ、事業費に18億6200万円を見込む。本年度は下小網中沢の堰堤工や上ノ山Aの法枠工などを引き続き実施するほか、新たに砂防の蓑沢一号沢や急傾斜の仲町一区I-Aなどに着手。このほか、砂防の前沢や急傾斜の小滝田IAなどを24年度補正で前倒して事業化し、本年度から測量調査や設計に着手する。ダム施設保全事業は、三河沢ダムの貯水池進入路設置工事と寺山ダムのダムコン更新に1億0690万円を予算化した。
本年度の砂防施設づくり事業は、砂防事業で50カ所を計画し、事業費10億8300万円を予算化した。主要な事業箇所をみると、下小網中沢(日光市藤原)は昨年度に進入路工事を実施しており、本年度は24年度補正分で堰堤の基礎部分、25年度当初分で堰堤本体とスリットを施工する。設計は、大日本コンサルタントが策定した。
天頂下沢(塩谷町船生)は、渓岸崩壊に対処するため砂防堰堤1基を整備している。これまでに堰堤の基礎部分まで工事を進めており、本年度は堰堤本体とスリットを施工する。門前向沢(那須塩原市塩原)の堰堤工は、昨年度に基礎部分の工事を発注しており、本体も含めた残る工事を25年度と26年度の2カ年で施工する。
また急傾斜地崩壊対策事業は、地すべり対策を含めて27カ所で事業を実施するため、5億9000万円を配分した。本年度は、上ノ山A(宇都宮市上大曽町)が昨年度に施工した箇所の隣で引き続き法枠工を実施するほか、城間I-C(那珂川町松野)は補強土擁壁工延長32.7mを実施して28年度の完了を目指す。
神谷(足利市小俣町)は、昨年度に引き続き本年度も延長30m弱の崩壊土砂防護柵工を施工して、27年度の事業完了を予定する。このほかソフト対策事業として、基礎調査や看板設置、土砂・洪水氾濫対策などに1億8900万円を予算化している。
25年度の新規箇所は、砂防事業で蓑沢一号沢(那須町蓑沢)に砂防堰堤1基を整備する。人家20戸や主要地方道伊王野白河線の延長230mを保全するもので、事業期間は25年度から29年度までの5カ年とする。
急傾斜は、仲町一区I-A(日光市鬼怒川温泉滝)、出流M(栃木市出流町)、新宿IA(那珂川町馬頭)、今福〔2工区〕(足利市今福町)の4カ所に着手する。仲町一区I-Aは人家42戸や国道121号の延長208m、出流Mは人家12戸と出流町公民館、市道(1級幹線)延長260m、新宿IAは要配慮者利用施設の馬頭小学校、今福は人家33戸と今福町集会所をを保全対象とする。
このほか24年度補正で、砂防4カ所と急傾斜2カ所を前倒して事業化した。砂防のうち、前沢(佐野市下出)は人家6戸と野上中地区簡易水道、作原田沼線の延長136mを保全対象として砂防堰堤1基を整備し、急傾斜のうち小滝田IA(那須烏山市滝田)は烏山台病院や介護老人保健施設富士山苑、特別養護老人ホーム敬愛荘を保全するため法面工を実施する。これら新規箇所は本年度、いずれも測量調査や設計(今福〔2工区〕は測量調査)を実施する。
ダム施設保全事業のうち、三河沢ダムは三河沢など2本の沢筋にそれぞれ貯砂ダムを設けているが、東日本台風など豪雨の影響で貯水池内にも土砂が堆積しており、これを掘削するための進入路が必要となることから、本年度はまず片側の進入路設置工事に着手する。延長は約220mで、2~3カ年での整備を予定する。寺山ダムは、前回更新から14年が経過したダム管理用制御処理設備を本年度から2カ年で更新する。
砂防事業の新規箇所は次の通り。(▽箇所名・所在地=[1]全体事業内容[2]工事期間)
【24年度補正】
〈砂防事業〉
▽叶桑沢(鹿沼市口粟野)=[1]砂防堰堤1基[2]25~29年度
▽下湯ヶ平沢(日光市湯西川)=[1]砂防堰堤1基[2]25~28年度
▽葛城沢(さくら市早乙女)=[1]砂防堰堤1基[2]25~29年度
▽前沢(佐野市下出)=[1]砂防堰堤1基[2]25~29年度
〈急傾斜地崩壊対策事業〉
▽坂井中IA(茂木町坂井)=[1]崩壊土砂防護柵工、延長200m[2]25~29年度
▽小滝田IA(那須烏山市滝田)=[1]法面工、面積7000平方m[2]25~29年度
【25年度当初】
〈砂防事業〉
▽蓑沢一号沢(那須町蓑沢)=[1]砂防堰堤1基[2]25~29年度
〈急傾斜地崩壊対策事業〉
▽仲町一区I-A(日光市鬼怒川温泉滝)=[1]待受式擁壁工、延長560m[2]25~29年度
▽出流M(栃木市出流町)=[1]待受式擁壁工、延長320m[2]25~29年度
▽新宿IA(那珂川町馬頭)=[1]崩壊土砂防護柵工、延長120m[2]25~29年度
▽今福(2工区)(足利市今福町)=[1]崩壊土砂防護柵工、延長400m[2]25~29年度