造成工事を8月発注へ スポーツパークの進捗説明(宮城県 大郷町)
[2024/5/1 宮城版]
大郷町は4月30日、「おおさとスマートスポーツパーク構想」の進捗状況を町議会議員に説明した。町は用地取得費を盛り込んだ補正予算案を町議会6月定例会に提出し、承認されれば8月に造成工事を発注したい意向を示した。造成が完了した後は土地を民間企業のスポーツX(京都市)に貸し付ける。同社はサッカーグラウンドや宿泊棟4棟、管理棟2棟などを整備し、2030年3~4月の完成を目指す。
スマートスポーツパーク(SSP)は農業とスポーツの一体型教育施設で、粕川地区の農地約19haを開発して整備する。町は農地を取得して造成や調整池の整備まで行い、スポーツXがサッカーグラウンド12面や宿泊棟4棟、管理棟2棟、駐車場などを整備する構想となっている。
当初は今年3月末ごろの造成着工を予定していが、町議会で用地取得費の予算計上が2度にわたって否決されたため、事業全体が遅れている。町は造成設計等業務を建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)に委託してとりまとめ作業を進めている。
4月30日には同構想の調査特別委員会が開かれ、町議に対してスポーツXが計画の一部修正を報告するとともに、町が進捗状況や今後の進め方などを説明した。
スポーツXはこれまで、サッカーグラウンドの12面を全て人工芝で整備するとしていたが、10面を人工芝、2面を天然芝に変更。天然芝を含む計4面分はオンサイト調整池として利用する。
調整池は事業地内に町がオープンタイプのオフサイト調整池を2カ所(1カ所当たり3700平方m)に整備するが、大雨でオフサイトだけでは受けきれない場合に、オンサイトの方に水を貯める。このため、通常のグラウンドは現地盤から1mほど盛土して海抜5.3mを確保するが、オンサイト調整池に活用するグラウンド面は海抜4.7mとする。
宿泊棟は4棟で最大1200人から1000人に宿泊可能人数を変更。駐車場は普通車が1024台、バスが46台を確保する。交流人口はこれまでの年間80万人から71万人に下方修正した。
工事は1工区と2工区に分けて進める。1工区でグラウンド6面と宿泊棟2棟、管理棟1棟を整備し、2工区で残りの半分を整備する。
総工事費は15億8000万円とした。内訳はグラウンドが約5億6000万円、管理棟と宿泊棟が約6億円で、残りが駐車場など。
町が負担する事業費は5億4674万円で、これまでより3500万円ほど増えた。工事費は第1工区の造成が1億1550万円、2工区の造成が1億2100万円、既存排水路の切り回しが1億1880万円。これ以外に表土の剥ぎ取り費などが追加になる可能性がある。調整池の工事費は1億3970万円で、スポーツXが負担する。
盛土材に関しては、国土交通省が吉田川の河道掘削を行っており、そこで発生した土を活用する。町は締固め土量に31万立方mを見込んでいたが、これより少なくなる見込み。
同町のSSP構想は、官民一体で農業とスポーツの振興に取り組み、企業誘致や雇用創出、交流・定住人口の増加といった地域活性につなげる。