改良費に267億円 25-34年度経営戦略 普及率79%目指す(取手下水道組合)

[2025/5/9 茨城版]
 取手地方広域下水道組合(管理者・中村修取手市長)は、25-34年度の10年間を計画期間とする公共下水道事業経営戦略(経営戦略)を策定した。経営の基本方針には、快適な下水道サービスを継続的・安定的に提供するとともに、安定した経営基盤の確立を掲げる。34年度の実施目標では経費回収率100%、整備済区域面積2060ha、下水道普及率79%、水洗化率95.3%に設定。10年間の建設改良費には267億6663万円を投じる見通しだ。

 今回の経営戦略は、20年度策定の経営戦略を改定したもの。下水道事業計画および下水道施設老朽化の改築計画であるストックマネジメント計画などとの整合を図り、下水道事業の中長期的な経営の基本計画として位置付けている。

 組合の下水道施設は、管路施設とポンプ場施設、処理場施設の県南クリーンセンターで構成。24年3月31日現在の管路延長(汚水)は約570kmで、事業計画区域面積は2165.1ha。このうち整備済区域面積は1933.1ha(89.3%)、供用開始区域面積は1707.6ha(78.9%)で、下水道普及率は74.8%に達している。

 管路は供用開始から39年が経過。耐用年数の50年が近づいてくることから、優先度に基づく定期的な巡視・点検調査を行い、計画的な維持管理が必要となっている。

 汚水ポンプ場は9カ所(取手市7カ所、つくばみらい市2カ所)、調整池は1カ所(つくばみらい市)を保有。処理施設では処理水を利根川に放流しているが、供用開始から39年が経過し、各設備の老朽化が顕著となっているため、計画的に点検調査を行い順次改築を進める。

 具体的には、▽下水道の普及促進(下水道未普及地域の解消、水洗化率の向上、下水道普及促進活動)▽災害に強い下水道(総合地震計画策定、ストックマネジメント計画策定、PCB〔事業継続計画〕策定)▽収入を増やす取り組み(下水道使用料の改定)▽支出を減らす取り組み(包括的民間委託の導入、ウォーターPPPの検討、エネルギーおよび土地・施設等利用)──の4つの取り組みを推進。次世代へ良好な生活環境を引き継ぐ。

 下水道の普及促進では、事業の進捗にあわせて事業計画区域の拡大変更を行い、普及率向上に努める。災害に強い下水道では、総合地震計画とストックマネジメント計画が23年度から第2期計画に入り、下水道幹線の二条化工事や管路更生工事などに取り組んでいる。収入を増やす取り組みでは、維持管理費の高騰などにより経営資金を確保できないことから、24年4月1日に下水道使用料の改定を行った。支出を減らす取り組みでは、包括的民間委託を導入。施設の修繕や植栽管理、脱臭剤交換など業務の効率化を図っている。また、ウォーターPPPの導入や省エネ設備の導入などの検討を行っており、積極的なコスト削減に努める。

 財政計画では、▽25年度23億1908万円▽26年度22億4940万円▽27年度28億7304万円▽28年度37億3031万円▽29年度29億5350万円▽30年度22億4820万円▽31年度27億6752万円▽32年度29億0610万円▽33年度27億3010万円▽34年度19億8938万円──の合計267億6663万円の建設改良費を見込んでいる。

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