「競輪場を多目的スポーツ施設に」運営側が建替提案(千葉市)

[2017/9/14 千葉版]
 千葉市の熊谷俊人市長は、13日に開かれた市議会9月定例会の代表質疑で答弁し、千葉競輪場(中央区弁天4-1-1)を建て替える計画を、競輪事業の委託先である民間の運営事業者から提案されていることを明らかにした。提案では運営事業者側が建て替えに伴う工事費などを全額負担し、1周250mの木製トラックを持ち、自転車競技以外の利用も見込める屋内型の多目的スポーツ施設に生まれ変わらせるという。市では競輪場のある千葉公園内施設の再整備などと併せて、提案内容を精査している。

 これまでに市では、千葉競輪場の使用を29年度末で中止するとともに、業績が悪化している競輪事業から撤退する方針を27年度に示していた。

 その後、競輪事業の運営委託先である日本写真判定(東京都千代田区)が、国際自転車競技連合が定める規格を満たした屋内型の自転車トラック競技場として、同者負担で建て替えることを提案。トラック内部のスペースをイベントや軽スポーツなど多目的に使えるようにすることも想定しているという。

 国際規格の屋内型自転車トラック競技場について国内では、静岡県伊豆市にある日本サイクルスポーツセンター内に23年10月に完成した「伊豆ベロドローム」があり、同様に250mの木製トラックや観客席などが完備されている。

 既存の千葉競輪場の建物は30年度以降の利用を中止し、追って解体した跡地に新たな自転車トラック競技場を建設する考え。250mのトラックでの競輪は、現行の国内で定められた基準では公営競技として認められないが、市によるとそのルールを変更することで可能となるとともに、屋内化などを図ることで、事業収益が黒字になることも見込めるとした試算も出ているという。

 一方で市が撤退するとしていた競輪事業も、現在の競輪場の使用を中止して以降も、松戸をはじめとする他都県の競輪場で開催されるレースを市が主催するなどして継続させる方針だ。

 千葉競輪場は、自転車競技法が戦後の昭和23年8月に施行されて以降、同24年に全国で11番目の競輪場として、千葉公園の隣接地に開設された。これまでにその収益から602億円が一般会計に繰り出されるなど市の財政に貢献してきたが、近年の趣味やレジャーの多様化や来場者の高齢化、急速な景気の悪化などの影響により、車券発売額は平成7年度の652億円をピークに年々減少、14年度には171億円と200億円を割り込むなどした。

 これに対し市は25年度から民間事業者のノウハウを生かし、委託を一体化する民間包括委託を導入するため、委託業者の公募を開始。審査により選定された日本写真判定に運営を委託している。

 既存の競輪場の敷地は4万4316平方m。コンクリート製のトラックは1周500mで、走路内部はテニスコートや多目的球技場として利用が可能だ。3万5000人を収容できるS造地下1階地上4階建てのメーンスタンドは平成4年6月の完成で、以降は走路や設備面の改修が年々実施されているが、老朽化も目立ち始めていた。

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