千葉競輪場の建て替え 年明けにも基本協定(千葉市)

[2017/12/15 千葉版]
 千葉市は、千葉競輪場(中央区弁天4-1-1)を多目的スポーツ施設として建て替えるため、年明けにも民間事業者と基本協定を締結する。既存施設の除却工事は年度内にも始まる見通しで、新施設は東京オリンピック・パラリンピックが閉会した後の32年秋の供用開始を目指す。市では開会中の市議会12月定例会に、用地取得費や除却に伴う負担金の債務負担行為を設定するなど、関連費を計上した補正予算案を提出しており、可決後は必要な手続きを並行させていく。

 千葉競輪場について市は、工事費の全額負担による建て替えを申し入れた民間事業者(日本写真判定)の提案を受け入れ、国際規格となる1周250mの木製トラックを持ち、自転車競技以外の利用も見込める屋内型の多目的スポーツ施設として再整備する方針を表明した。開催中のメモリアルレースは17日に終了し、メーンスタンドを場外車券売場として利用する以外は、以降の使用を休止する。

 市では既存施設の除却と新施設の建設、競輪事業の運営を一括して委託する事業者について、日本写真判定を含め、運営のノウハウを持つ国内の4者に、事業への参加意思を確認したところ、日本写真判定のみが手を挙げたという。基本協定の締結後は、同社が事業者を選定し、市の承認を経て着工する見通しだ。

 既存施設の除却は、場外車券売場となるメーンスタンドのみを残し、内部の球技場やテニスコートを含め、1周500mのバンクから着手。1周250mの木製バンクを持つ屋内型の新施設は、その跡地の一部に30年度上半期にも着工、32年度上半期の完成を目標とする。日本写真判定では、新施設の建設費用(除却費除く)に約70億円を見込んでいる。

 新施設の完成後は、メーンスタンドの除却とともに、市が残りのスペースを使って、同じく千葉公園内にある体育館を移転改築させる計画となっている。

 これまでに市では、千葉競輪場の使用を29年度末で中止するとともに、業績が悪化している競輪事業から撤退する方針を27年度に示していた。

 その後、競輪事業の運営委託先だった日本写真判定が、国際自転車競技連合が定める規格を満たした屋内型の自転車トラック競技場として、同者負担で建て替えることを提案。トラック内部のスペースをイベントや軽スポーツなど多目的に使えるようにすることも想定している。同様の自転車競技場について国内では、静岡県伊豆市にある日本サイクルスポーツセンター内に23年10月に完成した「伊豆ベロドローム」がある。

 250mトラックでの競輪は、現行の国内で定められた基準では公営競技として認められないが、そのルールを変更することで可能となるとともに、屋内化などを図ることで、事業収益が黒字になることも見込めるとした試算も出ているという。

 一方で市が撤退するとしていた競輪事業も、現在の競輪場の使用を中止して以降も、他都県の競輪場で開催されるレースを市が主催するなどして継続させるとともに、場外車券売場を残す。

 千葉競輪場は、自転車競技法が戦後の昭和23年8月に施行されて以降、同24年に全国で11番目の競輪場として、千葉公園の隣接地に開設された。これまでにその収益から602億円が一般会計に繰り出されるなど市の財政に貢献してきたが、近年の趣味やレジャーの多様化や来場者の高齢化、急速な景気の悪化などの影響により、車券発売額は平成7年度の652億円をピークに年々減少、14年度には171億円と200億円を割り込むなどした。

 これに対し市は25年度から民間事業者のノウハウを生かし、委託を一体化する民間包括委託を導入するため、委託業者の公募を開始。審査により選定された日本写真判定に運営を委託した。

 既存の競輪場の敷地は4万4316平方m。トラックはコンクリート製で、3万5000人を収容できるS造地下1階地上4階建てのメーンスタンドは平成4年6月の完成。走路や設備の改修が年々実施されているが、老朽化も目立っていた。

 敷地については一部が国有地となっていることから、競輪事業特別会計の12月補正予算案で千葉競輪場分として17億9800万円、公共用地取得事業特別会計の補正案で千葉公園体育館分として15億8980万円の用地取得費をそれぞれ計上、年度内の取得を目指しているほか、既存施設の除却に伴う負担金として、30~32年度を期間とする、限度額15億2300万円の債務負担行為も設定する。

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