九十九里浜の侵食対策案 中里、一松の離岸堤優先(千葉県)

[2018/1/16 千葉版]
 千葉県土整備部河川整備課が事務局を務める、第3回の「九十九里浜侵食対策検討会議」(座長・近藤健雄日本大学名誉教授)が15日、千葉市中央区のホテルポートプラザちばで開かれ、整備方針案と、同案に基づく侵食対策計画案の概要が示された。防災上必要な「砂浜幅40m」を確保するため、海水浴場などとして利用のある海岸から優先的に整備する方針が示され、特に侵食の著しい白子町の中里海岸と、長生村の一松(ひとつまつ)海岸に離岸堤を整備することなどが盛り込まれている。

 整備方針案では、九十九里浜系内の二級河川の河口部と、片貝漁港での年間約6万1000立方mをはじめとする漁港内の浚渫砂を活用。当面継続確保できるサンドリサイクル材は、九十九里浜全体で年間約9万立方mに設定し、九十九里浜全体で柔軟に対応するとした。

 さらに既存のヘッドランド群へのサンドリサイクル量を拡大。一宮海岸は継続して砂量を拡大するとともに、北九十九里海岸は地元の合意形成を図った上で陸上からの試験施工に努めるとした。

 また、汀線の後退が著しいヘッドランド群下手側(北側、片貝漁港側)で特に鋼矢板など緊急対策を施している中里海岸と一松海岸から着手するとし、漂砂の抑制に向けサンドリサイクルと施設整備を組み合わせが必要であり、離岸堤とヘッドランドを組み合わせてあらゆる方向の漂砂に対応するとした。

 施設整備は離岸堤から着手することを基本とする。中里、一松の施設整備後は、下手側の不動堂や真亀、白里中央、剃金の海岸などで侵食の可能性があることから、サンドリサイクルで汀線を維持。施設整備の必要が生じた場合はその有効性を検討しながら進めるとした。

 侵食対策計画案では匝瑳市の野手海岸にある8号・9号ヘッドランド間に年間2万立方mのサンドリサイクルを実施。また、中里海岸には年間0.75万立方m、一松海岸には同2.5万立方mの、一宮町の2号・3号ヘッドランド間には同2万立方mのサンドリサイクルを投入する。同案では事業期間を30年間とし、総事業費には約200億~300億円を試算。サンドリサイクルは北九十九里で年間2万立方m、南九十九里で同7万立方mとし、施設整備についてみると、北九十九里で野手海岸のヘッドランド縦堤の整備を2基で継続するほか、南九十九里では7基の離岸堤と、改良を含めてヘッドランド9基の整備を見込む。

 計画案ではサンドリサイクルと施設整備を実施する箇所で砂浜幅40mが期待できるとする一方、下手側の海岸で侵食が予想されるため、汀線の変化を観測していくことが課題だとした。

 当日の議事では「忌たんのない意見をお願いしたい」とする県河川整備課の岩船保課長のあいさつに続き、基本方針について同意が得られたという29年3月に開かれた第2回会議の内容を事務局が報告した。

 整備方針案を設定するに当たって事務局では、砂の供給源となる屏風ケ浦と太東崎で侵食対策した結果、供給砂が不足し、飯岡と一宮で侵食が始まり、これに伴い飯岡で離岸堤群、北九十九里と一宮でヘッドランド群をそれぞれ整備することで対策を図ったとした。

 このうちヘッドランド群の設置により汀線の後退速度が低下し、整備効果が現れたとしたものの、陸上・海上から砂を投入している一方で、砂浜は減少傾向にあるとし、ヘッドランド群下手側の中里や一松、木戸浜の各海岸での侵食が顕著だとした。

 ヘッドランド群を整備した海岸では、汀線の前進に向けてサンドリサイクルを実施。一宮、北九十九里海岸ともにその量の拡大が今後の課題だとした。一方でヘッドランド下手側、特に中里海岸と一松海岸は海岸利用があるものの汀線の後退が著しく緊急対策が施されている。

 堆砂の現状をみると、栗山川河口から片貝漁港までの区間は現状でも砂浜幅が40m以上で堆砂傾向にあり、離岸堤群を整備した飯岡では汀線の前進に十分な効果があったとした。

 二級河川の河口では、サンドリサイクルの安定的な砂の確保と河口の維持管理の両面で定期的な浚渫が必要だとし、漁港の航路も管理者間の調整が必要なものの九十九里浜内の砂が大量に堆積しており、現在も太東漁港の浚渫砂を一宮海岸などにサンドリサイクルしており、安定的な材料として想定するとした。

 会議では学識経験者や海岸利用者、沿岸市長村長ら会議の委員から、離岸堤やヘッドランドの整備により、海岸の景観や海洋生物・漁業に与える影響を懸念する声なども挙がっていた。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.