第7次10カ年計画へ準備 民有林に県民税充当

[2018/6/29 栃木版]
 本県28年度末残面積は3851立方m 平成32年度からの地籍調査第7次10カ年計画に備え、国と都道府県等による事前調整が始まった。国が今年1月に公表した「中長期的な地籍整備の推進に関する検討会中間とりまとめ」に基づき、次期計画には第6次計画で設定した優先地域における未実施の約4万立方mを挙げるとともに、施策分野では、▽災害対策▽都市開発▽社会資本整備▽森林施業・保全▽地域特有課題-5項目を示した。本県では民有林2800haについて、とちぎの元気な森づくり県民税を充当し調査の進ちょくを図っていくことが新たな取組みに挙げられそうだ。県農村振興課によると、第6次最終の31年度には国との調整の中で本県の割当面積が示されるとした。

地籍調査

 地籍調査は、昭和38年度から10カ年計画が始まり、現在は平成31年度までの第6次10カ年計画が進められている。本県の計画面積は第1次370立方m(達成率23.7%)、第2次1500立方m(同13.6%)、第3次700立方m(同20.8%)、第4次800立方m(同15.3%)、第5次799立方m(同17.6%)といずれも実績は4分の1未満となっている。着手済市町村は第1次の7から着実に増えており、平成28年度末における第6次では25市町のうち22を数え、29年度からは市貝町が新たに着手した。

 28年度末における本県の調査対象面積は4916.33立方m。県土面積6408.28立方mから調査除外面積1491.95立方mと調査済面積1065.15立方mを引いた数字で、残る調査面積は3851.18立方m。31年度を最終とする第6次10カ年計画の計画面積は270立方mで、7年間の実績は約32.4%の87.42立方mに止まっている。

 計画面積に対し実績率が低いのは全国的なもので、28年度末の進ちょく率は52%。特に、DIDが24%と進ちょく率が低く、一方で非DIDの宅地が54%、農用地73%と半分を超えている。第6次計画では遅れている都市部・山村部を中心に2万1000立方mを目標に位置付けた。市町村の実施状況は1284市区町村が完了あるいは実施中とし、休止・未着手は457市区町村としている。本県でも足利と真岡が未着手、栃木と壬生は休止中となっている。

 中間とりまとめでは、進ちょくを上げていくための具体的方策に、効率化の取組の更なる推進として▽一筆地調査(準備作業・現地調査)の効率化▽新技術の導入促進▽実施体制の強化-を挙げた。一筆地調査のための準備調査には、土地所有者の所在確認に住民票や戸籍以外の情報にアクセスしやすい環境整備や探索範囲の明確化、専門家の知見の活用などを検討。現地調査において所定の手続きを経ても土地所有者等が不明な場合は、立合いを一部簡略する仕組みや境界案作成の根拠となる資料の対象拡大などを検討していく。また、「筆界特定制度」の申請地を地籍調査の実施主体に付与するため必要な条件設定等を検討するとした。

 新技術の導入には、空中写真測量技術、レーザー測量技術、MMSなどを検討。実施体制の強化では、強化事例の全国展開や包括委託を促進するための効果的手法、能力や信頼性を評価する民間資格の活用などを検討していく。

 都市部では、官民境界の先行的な整備の推進とプラットフォーム・オープンデータサイトの構築による情報通信技術(ICT)を活用した民間測量成果との連携を示した。山村部では、空中写真測量技術やレーザー測量などを用いて現地作業を省略した手法に加え、林務部局など森林施策との連携を挙げた。本県でも31年度から、とちぎの元気な森づくり県民税を充当して民有林の地籍調査を開始する。

 また、地域ごとの課題に即応するため、最低限必要とされる段階まで迅速に整備することを可能とする段階的な地籍整備の仕組みづくり、未着手・休止市区町村の自主的な取組みを促す仕組みづくりが必要とした。加えて、民間測量成果などを地籍整備に活用できる仕組みづくりの必要性を挙げている。

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