日光市の7病院 地域医療連携推進法人設立へ 獨協医療センターが移転整備

[2018/9/27 栃木版]
 日光地域における医療提供体制の確立に向けて、日光市内の7病院を核とした「地域医療連携推進法人」の設立に向けた準備が進められている。7病院は、足尾双愛病院、今市病院、川上病院、獨協日光医療センター、日光市民病院、日光野口病院、森病院-とし、県保健福祉部によると、現在は勉強会で設立に向け課題などを検討しているとした。7病院のうち今市病院が「日光ランドマーク」新設に伴い旧ショッピングプラザ日光の解体跡地への移転整備が決まっているほか、獨協日光医療センターも移転整備の必要性を表明しており、法人設立に合わせ各医療機関の施設整備や設備拡充などが実施されそうだ。

 地域医療連携推進法人制度は、医療機関相互間の機能分担や業務の連携を推進し、地域医療構想を達成するための選択肢の一つとして厚生労働省が医療法を改正し創設、今年4月2日に施行された。複数の医療機関等が法人に参画することで、競争よりも協調を進め、地域における質の高い効率的な医療提供体制を確保していこうというもの。

 将来の人口を推計すると日光地域は、県内他地域に比べ減少率が想定を上回っているとし、内科・外科などの主要な診療科目は各地区の医療需要をカバーできるとした反面、脳血管疾患や小児救急(夜間)など内容によっては、医療需要をカバーできないことが想定されるほか、整形外科や消化器など一部の内科などで、機能が重複し効率的な提供体制に懸念が生じる可能性が高いとしている。

 県は、人口の減少とともに期待される医療機関の範囲、各病院が担う医療機関は常に変化を見定めることが必要とし、その都度、医療機関同士の話し合いが行われることが望ましいとしている。

 医療提供体制の構築に向けては、ヒト(医療従事者)、モノ(医療機器、病床)、カネ(運営、建替え)、ノウハウ(医療技術)、その他(強み・弱み、マクロ環境等)などといった各医療機関による検討が重要視され、連携の範囲と内容の検討に直結していく。

 連携方法は、連携協定の締結と連携法人の設立に大別され、法人設立後は電子カルテの統一化による患者情報の共有化といった連携協定項目に加え、▽在籍型出向制度の導入▽医薬品・医療機器購入の共同交渉▽医薬品・医療機器以外の物品等の共同購入▽資金貸付や債務保証による経営の安定化▽連携推進法人100%出資による各種法人の設立-などのメリットが生まれるとした。

 県が28年3月に策定した県地域医療構想によると、在宅医療等を見据え急性期から回復期病床への転換を図るとしており、日光・鹿沼地域を包含する県西医療構想に当てはめると、37年度の回復期病床数を358床としており、現在の病床数60床に比べ298床が不足するとしている。

 新法人の設立は、少子高齢化を見据え需要が増す診療科目の拡充に加え、回復期病床の計画数の確保といった地域偏在性を是正する狙いがあるとした。

 なお、勉強会には7病院のほかに県と日光市、上都賀郡市医師会が参加。オブザーバーには県医師会、野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー社が参加している。

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