総合評価で優先順位 福祉施設の個別計画(流山市)

[2018/11/29 千葉版]
 流山市社会福祉課は、市が保有する福祉施設について、長寿命化などを図ることを見通した個別施設計画をまとめた。計画期間におおよそ40カ年を見込むもので▽高齢者福祉センター森の倶楽部▽高齢者趣味の家▽地域福祉センター▽児童発達支援センターつばさ▽福祉会館──の5種類・26施設を対象とし、建物の劣化度だけでなく重要性などを考慮して総合評価し、優先順位を設けていくなどとしている。

 今回の計画では、RC造建物の50~60年と言われる中、これらの長寿命化を図りながら、中長期的な維持管理に必要なトータルコストの縮減と、予算の平準化を図ることを目的に、中期(10年後まで)、長期(20年後まで)、超長期(40年後まで)の3つの時期に分け、それぞれで施す長寿命化などの実施計画を示している。合築部を含めて26棟ある施設は全て新耐震基準、または耐震性を有するか、改修を済ませている。

 同計画ではさらに、単に劣化した建築物や設備を元の状態に戻すだけでなく、機能や性能をその時点で求められている水準まで引き上げ、施設環境の確保や利用環境の質的向上、地域コミュニティの拠点形成を目指して再生させるとしている。

 このため、施設の改修を実施する優先順位を設け、築年数や構造、劣化度のほか、施設の重要度を考慮・数値化し、総合評価で格付けする。ランクはA~Cの3段階で、今回Aランクとされたものは▽西深井福祉会館▽南福祉会館▽名都借福祉会館──の3箇所となり、これらは今後10年で修繕や改修により適切な維持保全に努めるとするとともに、その時点の総合計画(実施計画)で、あり方を検討していくとした。

 26施設のうち、築40年が経過しているのは▽児童発達支援センターつばさ・つばさ学園(福祉会館合築部)(昭和52年)▽駒木台福祉会館(同)▽流山福祉会館(昭和53年)▽江戸川台福祉会館(同)▽西深井福祉会館(同)──の5施設。つばさ学園と駒木台、流山、江戸川台については、10年後まで(中期)に詳細診断を実施する。

 詳細診断では専門業者を活用し、棟ごとにコンクリートのコア抜きや中性化試験などを含む診断を実施。長寿命化の可否やライフサイクルコストを考慮した、効果的な長寿命化または建て替えを検討する。

 診断の結果、長寿命化が可能なものは、80年を供用目標とする長寿命化を含む工事を実施。一方でコンクリート強度や中性化など、躯体の強度に問題があると判明した建築物では、寿命である60年供用後に建て替えを図るとしている。

 計画では一方で、現状で福祉施設が最長でも築後40年を経過した建物のため、耐用年数にまだ猶予があることから、原則として大規模改修などにより耐用年数を超えて使用することを目標とし、財政状況や各種補助制度を総合的に勘案して設定するとし、福祉会館については、機能面ではトイレの洋式化やバリアフリー化などを実施しており、目標耐用年数を50年とした木造建築物もあるため、耐用年数を考慮して整備を検討していくとした。

 市では将来40年間に、80年まで長寿命化させた場合と、60年で建て替えた場合の費用の累積額を比較。建て替え時期を先延ばしすることで、直近40年での総費用で約3・7億円を削減することが可能になると試算している。

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