国土交通など3省 落札率県と23市町90%以上 発注平準化は市町に遅れ

【2019/1/24 栃木版】
 国土交通、総務、財務の3省は、入札契約適正化法に基づく国と地方公共団体等の実施状況(2018年8月1日現在)をまとめた。本県は、発注の平準化で債務負担行為の活用など5項目全てで県が実施しているのに対し、5項目を満たす市町は無かったほか、労務単価の見直しや資材単価の上昇等を背景に平均落札率も県と23市町が90%以上となった。総合評価落札方式は全自治体が導入しているものの、17年度の実績は6市町で50件に止まった。 =2面に県内市町別実施状況一覧

 調査項目は、▽一般競争入札の適切な活用▽総合評価落札方式の適切な活用▽ダンピング対策▽第3者機関等の設置状況▽17年度競争入札平均落札率-などに加え、▽平準化の取組▽設計変更ガイドラインの策定▽1者応札の対応を加えた。調査対象機関は、国19機関、特殊法人等124法人、地方公共団体では47都道府県20政令指定都市1721市区町村となっている。県内の発注機関では、県と25市町のほか、国立大学法人宇都宮大学の実施状況が挙がっている。

 一般競争入札は、宇都宮大学が文部科学省の方針と同じ250万円超、県は5000万円以上(一部3000万円以上で試行)が対象。市町では、宇都宮や矢板など5市が250万円超、佐野や小山など4市が500万円以上と、発注件数の多い市は段階的に対象金額を引き下げてきたものの、町は6町で3000万円以上となっており、ここにきて下限金額がほぼ定まってきた感がある。

 一方で下野市は、17年度から指名競争入札の適用範囲を拡大。16年度までは特殊な工事を除き、入札にかける予定価格130万円超の工事に一般競争入札を導入していたものの、予定価格1000万円未満を対象に試行を始めた。指名競争入札の拡大は、入札契約における事務手続きの簡素化を図り、工期を確保することが目的とし、経済対策を理由に足利市が暫定的に5000万円以上に引き上げるなど、工事内容によっては業者の技術力や地域的な知見など、発注者の裁量で特性を生かし適切な業者を配置することにもつながるとしている。

 国や県は働き方改革を背景に、工事現場における週休2日の取組を進めており、公告手続きや業者選定などに一定の期間が必要な一般競争入札に比べ、工事内容を峻別し指名競争入札を選択する自治体も増えていく可能性がありそうだ。

 総合評価落札方式は、県の働きかけも大きく全市町で導入。このうち本格導入は7市町に止まり、試行導入を含め17年度の実績は宇都宮の36件を除けば、1桁台に止まっている。町では上三川が9件と善戦した。

 平準化の取組の5項目は、▽債務負担行為の積極的な活用▽柔軟な工期の設定▽速やかな繰越手続き▽積算の前倒し▽早期執行のための目標設定-とし、全てで実施しているのは県だけとなっている。市町では、さくらが柔軟な工期設定を除く4項目、高根沢は早期執行の目標設定を除く4項目となった。大半は宇都宮や佐野の速やかな繰越手続きなど1項目、5項目未実施も3市、町では5町となっている。

 設計変更ガイドラインは、指針を策定し活用が県のほか9市と3町で、工事件数の多い市が全般的に進んでいるようだ。1者応札の対応では、全ての入札で有効が宇都宮など8市町、原則有効も入札の種類に応じて無効が県と7市町、原則無効も入札の種類に応じて有効は鹿沼など5市町、全ての入札で無効も大田原など5市町となっており、4パターンに分かれた。

 平均落札率の最も高いのが塩谷町の97.1%で、同町を含め95%以上も11市町あった。県の平均落札率は95%と前年度並み。最も低いのは高根沢町の89.1%で、非公表の市貝町を除き高止まりで推移している。失格基準の採用など低価格受注対策によるダンピング防止に加え、労務単価や資材単価が上昇しており、落札価格に反映した。

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