次世代放射光施設 基本建屋は2・7万平方m規模 建設候補者/6月までに公募(光科学イノベーションセンター)

[2019/3/29 宮城版]

次世代放射光施設の完成予想パース

次世代放射光施設の完成予想パース

 仙台市青葉区荒巻地区の東北大学青葉山新キャンパスで28日、次世代放射光施設の敷地造成工事に向けた安全祈願祭が開かれた。施工者は地元の橋本店(同市青葉区、佐々木宏明代表取締役社長)。発注者である光科学イノベーションセンターは、放射光施設の基本建屋に関し、施設規模が延べ2万7000平方m程度になることを明かし、6月までにプロポーザルの手続きを公告して建設候補者を募る意向を示した。
 次世代放射光施設は、基本建屋や研究準備交流棟などで構成する。基本建屋は、線形加速器や蓄積リングなどを収める施設。内部に設ける1周約350mのリング型加速器によって電子を光速に近い速さで加速▽回転させ、磁場の力で方向を曲げた際に発生する放射光を利用し、物質を原子レベルで解析する。ナノの世界を見ることができる巨大な顕微鏡といえる。
 基本建屋の基本・実施設計業務は日建設計(東京都千代田区)に委託しており、すでに基本設計がまとまった。基本建屋はS造一部RC造平屋延べ2万7000平方mの規模を想定。高さは15mで、うち5mが地下に埋まる形になる。
 新築に当たっては、実施設計段階から施工者の技術提案を受けるECI方式を導入。このため、6月までにプロポーザルを公告して建設候補者を募り、同者を交えて実施設計をとりまとめ、早ければ今秋にも新築着工したい考え。2023年度の完成を予定している。
 次世代放射光施設の整備事業費は、概算で約360億円。内訳は、加速器が約170億円、ビームラインが約60億円、基本建屋が約83億円、研究準備交流棟が約25億円、土地造成が地盤改良を含め約22億円となっている。
 施設整備に向けては、光科学イノベーションセンター、県、仙台市、東北大学、東北経済連合会の地域グループが整備運用パートナーに選ばれている。加速器は国が整備し、基本建屋や研究準備交流棟の建設、敷地造成などはパートナーが担う。
鎌を振る光科学イノベーションセンターの向田理事

鎌を振る光科学イノベーションセンターの向田理事

鍬を入れる同センターの相澤専務理事

鍬を入れる同センターの相澤専務理事

鋤を入れる橋本店の佐々木社長

鋤を入れる橋本店の佐々木社長

 

橋本店で造成着工

 次世代放射光施設の敷地造成工事では、ゴルフ場跡地の敷地約5.4haを対象に、土砂の掘削や整地、雨水排水施設の整備、外周道路の配置、伐採・緑化などを施工する。発生土量は約13万1000立方m。工期は2020年6月30日まで。造成工事費は約12億3000万円。
 28日の安全祈願祭には、光科学イノベーションセンターの向田吉広理事(東北経済連合会副会長)や相澤敏也専務理事、県経済商工観光部の吉田祐幸部長、仙台市まちづくり政策局の福田洋之局長、橋本店の佐々木社長など約30人が出席。神事で工事の無事を祈願した。
 相澤専務理事は放射光施設について「世界最先端の研究施設。この施設や技術を活用し、この東北、仙台、青葉山の地から、ものづくりのイノベーションが全世界に広がっていくようにしたい」と抱負を語った。
 橋本店の佐々木社長は、造成工事で「BIM/CIMの3次元データを積極的に取り入れ、品質と生産性の向上に努める」と明かし、「安全最優先、無事故・無災害はもちろんのこと、環境対策に十分考慮し、ドローン技術を活用した掘削管理システムなど、これまで培ってきた技術と英知を結集して工事を進める」と決意表明した。

 現場代理人を務める橋本店の遠藤孝一氏のコメント

現場代理人

現場代理人

 土砂の搬出がメーンとなる。一般道をダンプが走るので、地域住民や学生に配慮して安全作業で工事を進めたい。ダンプの台数は1日当たり100台が目安。過積載の防止にも努めたい。

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