通常予算の確保要望 高田東北整備局長と懇談(村井知事)

[2019/6/12 宮城版]
 村井嘉浩知事は10日、県庁で東北地方整備局の高田昌行局長と懇談した。高田局長は、県内の主な直轄事業を紹介するとともに、クルーズ船の寄港を通じた地域の活性化などについて話題を提供。村井知事は、インフラ整備によるストック効果を認めた上で、復興期間が終了した後に行う通常事業の予算確保を強く求めた。高田局長は「東北の復興なくして日本の再生なしを肝に銘じて必要な予算の確保に努めたい」と応じた。
 懇談会には、県から村井知事と門脇雅之土木部長が出席。東北地方整備局からは高田局長や西尾崇企画部長、永井浩泰統括防災官ら5人が顔をそろえた。
 高田局長は、県内の主な直轄事業として、鳴瀬川・吉田川の床上浸水対策特別緊急事業など河川関連4事業と、仙台東道路や国道349号丸森地区など道路関連8事業、仙台塩釜港埠頭再編改良工事の港湾関係1事業、国営追悼・祈念施設(仮称)整備事業の公園関係1事業を紹介した。
 このうち、国道349号丸森地区は、直轄による権限代行実施を検討するため、本年度で調査に着手予定であることが報告された。村井知事は「(直轄代行の話を聞いて)非常に県南の皆さんが喜んでいた。雪が降ったりすると全く道が通れなくなり孤立していた。これによって安心して住めるようになると一歩前に進んだことを喜んでいた」と地元の声を伝えた。
 クルーズ船の寄港に関しては、高田局長が統計を示しながら「訪日外国人が増えると消費額も増えるが、同じように農林水産物・食品の輸出額が増える。単なる観光客の消費だけでなく輸出にもつながる」と説明し、「港と道路の連携の重要性」を確認した。
 村井知事は「(三陸道の)登米東和インターチェンジを造っただけで工業団地へのアクセスが極めて向上され、平成23年度以降、既設の工業団地の分譲率が100%になった。地方税収入は三陸道の延伸前に比べ、平成28年度時点で1.18倍になっている」と紹介し、「道路のストック効果が顕在化している」とアピールした。
 港湾に関しては、コンテナ貨物の取扱量が知事になった当時に比べ、十数年間で約倍になったと強調し、その理由に「港が整備されて使い勝手がよくなり、併せてインターチェンジがすぐ目の前にできて有料道路がつながり仙台をぐるっと回れるようになったこと」を挙げた。
 これを受けて高田局長は「知事の方から具体的な数字で(効果)を言ってもらえると、われわれもそれをもってストック効果を説明しやすくなる。インフラの必要性や重要性をそのような形で世間の皆さんに理解してもらうことが重要」と話した。
 最後に村井知事は全体を統括し、「来年度で復興に大体めどが立つ。そうなると、通常の事業をこれからいろいろやっていかなければいけない。特に内陸部は通常予算を抑えて沿岸部に集中投資していた。今後は通常予算の確保が非常に重要」と語り、「通常予算の確保について、再来年度以降に(事業費が)一気に減ってしまうことがないよう特段の配慮をお願いする」と訴えた。

地図を前に高田局長(右)から県内の直轄事業について説明を受ける村井知事

地図を前に高田局長(右)から県内の直轄事業について説明を受ける村井知事

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