立体換地導入で区画整理 新松戸駅東側が事業認可(松戸市)

[2019/8/23 千葉版]
 松戸市街づくり課が計画していた、市施行による新松戸駅東側地区での土地区画整理事業が、16日付で県知事から認可を得て、事業に着手することが明らかになった。対象地区は幸谷字宮下や字溜ノ脇の各一部で、合計面積は約2・6ha。市では立体換地分に充てる建築物(マンション)を中心に、駅前広場やこれに至る都市計画道路とのアクセス道路の整備を計画するなどしており、計画書の縦覧を始めている。

 市では松戸駅東側地区について、健全な市街地の形成に加え、地区の課題である狭あいな道路の解消のほか、駅前広場や下水道、斜面緑地の整備などを目的に、市施行による立体換地を活用した土地区画整理事業を計画した。

 これに伴い2018年8月には、事業アドバイザーの募集をプロポーザル方式でスタートさせ、翌9月には事業者として三菱地所レジデンス(東京都千代田区)を特定。新松戸駅に接する同地区を優先的に整備する地区として位置付けた上で、街づくりに対する地元合意の形成支援とともに、将来の生活再建の方策を示すため、事業への賛同を求めることを委託していた。

 業務では事業アドバイザーとして、立体換地建築物の導入施設に関わるアドバイス(周辺の住宅市場などの知見に基づく立体換地建築物の企画に伴う支援)のほか、権利者の生活再建支援方策に関わるアドバイス(立体換地建築物の換地床を取得する権利者の生活再建支援方策の立案に伴う支援)、権利者合意形成支援として、権利者の合意形成に当たり、戸別訪問の際の資料作成と同行支援などを実施した。

 新松戸駅の東側地区はJR常磐線、武蔵野線の新松戸駅の東側に隣接し、都市開発に当たって高いポテンシャルがあるとし、この中で1971年に新松戸東部土地区画整理事業(約63ha)が都市計画決定された以降、市による土地区画整理事業の事業化に向けた取り組みがされてきたが、権利者による「新松戸東部土地区画整理事業に反対する陳情書」が市議会に提出・採択され、市は事業を凍結していた。

 その後、区域の一部においては、組合施行による土地区画整理事業(3地区、約13ha)が実施されてきたが、他の区域で個別開発が進行、狭あいな道路などの課題を抱えたまま、宅地化が進んでいるという。

 市では、同駅前のポテンシャルを生かすために必要な公共用地は整備しつつ、権利者の生活再建との両立を図り、立体換地手法を導入するとし、その中で今後事業の具体化するに当たり、集合住宅などの供給で知見のある事業者の協力を得ながら進めていくことが必要であることから、事業アドバイザーを得て業務を進めていた。

 立体換地は、土地区画整理法にも定められた、土地区画整理事業で従前の土地または借地権に対し、施行者が処分する権限のある建物と敷地の共有持ち分を与えるもの。全員合意で進めることが基本となることや、地権者が多く規模の大きな地区には馴染みにくいものの、より簡易な手続きで実施でき、単独の民間開発と比べて少ないコストでの整備が可能となる。

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