吉田川 決壊箇所ふさがる 盛土・締固め継続 道路被害額、河川を上回る(東北整備局)

[2019/10/18 宮城版]
 台風19号の災害に関して行政や警察、自衛隊ら防災機関が対応する8回目の災害対策本部会議が10月17日、宮城県庁で開かれた。被害状況が日を追うごとに深刻になる中、宮城県は土木施設の被害額が146億0700万円、農業被害が38億6599万円に増加したことを報告した。大郷町内で堤防が決壊した吉田川について、東北地方整備局は10月17日未明に仮堤防がつながり、決壊箇所が締め切られたことを伝えた。
 台風19号の被災から6日目となり、進展した被災調査によって被害の実態がさらに分かってきた。10月17日午後1時時点の集計によると、死者は13人。このほか、身元が不明の死者が3人おり、確認を急いでいる。
 家屋の被害は全壊が1棟、半壊が1棟。一部破損は19棟に増えた。浸水被害は床上が1284棟、床下が1582棟と、前日(16日)の集計を大きく上回った。
 河川や道路など公共土木施設の被害額も、前日に発表された約85億円から、146億0700万円に修正された。このうち、河川被害は宮城県と市町村管理を合わせて65億4000万円。計143河川の394カ所が被災している。
 道路被害は宮城県と市町村合わせて69億7800万円と、河川被害を上回った。計22路線の439カ所が被災している。
 農業被害は農道や水路、揚水機場などの水没被害が次第に分かり、38億6599万円に上っている。
 大規模な決壊によって大郷町粕川地区および大崎市鹿島台地区が水没している吉田川の応急復旧状況について、東北地方整備局の幹部らが10月17日時点の現状を報告した。
 約100mにわたって決壊した大郷町粕川字伝三郎の左岸堤防は、10月13日から昼夜を問わない復旧作業を続けた結果、17日未明に開口部の閉鎖が完了した。仮の堤防として決壊箇所の両側から岩ズリなどを投入し、真ん中付近で土堤が接続した。続いて矢板の打ち込みが始まった。
 まだ、堤防の高さが足りないため、今後はさらに土を盛って締め固めていく方針。19日までに応急復旧を完了させる。工事は災害協定に基づいて宮城県建設業協会(千葉嘉春会長)が請け負い、会員企業の熱海建設(仙台市青葉区)、深松組(同)、佐藤工務店(加美町)、丸か建設(同)、武山興業(石巻市)が中心になって施工している。
 東北地方整備局はこのほか、宮城県の要請を受けて洪水被害が甚大な丸森町内にテックフォースを派遣したことも報告した。今回は土砂災害の専門家らが17日に現地入りし、土砂災害のメカニズムなど基礎的な調査を19日まで実施する。

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