新公民館の配置固まる 岡田新一事務所で実施設計 気仙沼中央地区(気仙沼市)

[2019/11/13 宮城版]
 気仙沼市は岡田新一設計事務所(東京都文京区)に委託し、災害復旧事業で移転新築する気仙沼中央公民館の基本計画・基本設計をとりまとめた。これにより、新公民館の配置計画などが明らかになった。同社は、引き続き新公民館の実施設計業務を担当することになり、6日に市と税抜4560万円で業務委託の随意契約を結んだ。実施設計業務の履行期間は2020年3月31日まで。
 新公民館は、南気仙沼地区の土地区画整理事業地内(南気仙沼地区42街区1画地)に新築する。北西側には災害公営住宅、南東側には南運動広場が位置し、大川に沿った細長い敷地形状となっている。
 新公民館の敷地面積は8750平方mで、うち建築予定面積が6645平方m。建物は2階建て延べ3158平方mの規模を想定。構造はS造かRC造になる見込み。高さは最高13m程度。主要用途は公民館、劇場、体育館。駐車場は約2105平方mの用地に104台程度、駐輪場は20台程度を確保する。
 新築の基本理念は、「そこに行けば多くの人や活動に出会える場所」として、より稼働率の高い開かれた公民館とする。機能ゾーニングでは、建物を雁行型に配置することを提案。小劇場とアリーナの建築規模が大きいため、外周の道路から斜めに配置することで威圧感を抑えるとともに、外部にも立ち寄りやすいスペースを生み出す。
 配置計画図は%2別図%1の通り。敷地中央にロータリーを設け、車寄せから主出入口へとアプローチする。北東側には機能的な車両動線、南西の大川側は歩行者優先の外構空間を計画し、サブ出入口2カ所を設けて誰でも気軽に訪れやすいよう配慮した。
 新公民館に設ける小劇場・ホール部門は、多目的ホールの客席規模を従来の404席よりも少ない300~350席程度とするものの、ゆとりのある座席を確保する。また、広い舞台を持つ劇場計画としている。
 社会教育部門は、多目的に使える諸室を共通して「スタジオ」と名付け、機能を重ね合わせることで、稼働率の向上を目指す。共用部門は、単なる廊下とせず、自発的な使い方を促す「Kラウンジ」として多様なコーナーを内包したフリースペースとする。
 社会教育部門の諸室は、会議室などに使える「スタジオ」のほか、和室、事務室、調理実習室、授乳室、キッズコーナーなどを配置した。
 社会体育部門は、バスケットコート1面、バレーコート1面、バドミントンコート3面、卓球8面を計画。天井の高さはバドミントンが可能な8mを採用している。
 気仙沼中央公民館の災害復旧事業費は、総額で20億円程度を試算。移転先の地質調査業務は東北ボーリング(仙台市若林区)に委託した。
 今後のスケジュールは、来年3月末までに実施設計をまとめ、20年度の第1四半期に新築工事を発注し、市議会6月定例会で工事請負の契約承認を得る考え。同年度内の完成を目指す。
 同公民館は大震災で甚大な被害を受け使用不能となったため、災害復旧事業で移転新築する。現在は魚市場前の旧気仙沼河北新報社ビルで公民館を運営している。
 なお、新公民館から道路を挟んだ南東側の南運動広場は、野球やサッカー、ラグビーなどができる多目的広場として市が今後に整備する計画だ。

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