全線BP化など3案検討 国道108号/石巻河南道のルート(東北整備局 計画段階評価)

[2019/12/5 宮城版]
 東北地方整備局は4日、国道108号石巻河南道路の計画段階評価で、全線バイパス(BP)化など3つのルート帯案を示し、学識経験者らと協議した。3案を見ると整備延長は約8~9㎞で、概算事業費は最少が約170億~220億円、最大が約260億~310億円の範囲を設定している。今後に地域住民や道路利用者などからルート帯案に対する意見を求め、絞り込み作業を進める。
 ルート帯の3案は、社会資本整備審議会道路分科会の第27回東北地方小委員会(委員長・浜岡秀勝秋田大学教授)で示した。審議の結果、委員会から「はおおむね了承」との結論を得た。
 1案は、国道108号の現道より北側に延長約8㎞の2車線によるBP道路を整備する。起点は三陸沿岸道路の石巻女川インターチェンジ(IC)で、終点が石巻市河南地区の北村交差点付近。盛土構造の道路とすることで、周辺道路との交差をアクセスコントロールし、安全性・円滑性を確保するとともに、現道との交通分担を図る。
 1案の特徴は、同IC付近にある石巻赤十字病院や、その先の石巻市総合運動公園(圏域防災拠点)へのアクセス性が向上することなど。支障家屋は約30軒と比較的少ないが、かつて沼でほ場整備された農地を通過する区間が長いため、軟弱地盤対策が課題としている。概算事業費は約260億~310億円。
 2案は、同ICを起点とするも、石巻港からのアクセスを考慮し、畳石交差点付近で県道に接続させた後、北村交差点付近に結び付けるBPルート。延長は約9㎞で、2車線を確保する。1案と同様、盛土構造の道路とする。
 2案の特徴は、石巻赤十字病院や圏域防災拠点だけでなく、石巻港へのアクセス性が向上することなど。支障となる家屋が約60軒と比較的多く、畳石交差点から東側の集落が盛土構造の道路で分断されることが課題としている。概算事業費は230億~280億円。
 3案は、蛇田地区の菰継(こもつぎ)交差点を起点とし、畳石交差点までの約2㎞を現道拡幅して4車線とする。畳石交差点から北村交差点付近までの約6㎞は、2車線のBP道路とする。現道拡幅とBPの併用で延長が計8㎞となる。
 BP区間は盛土構造とし、現道拡幅区間は線形改良と歩道整備を行う。中心市街地や石巻港へのアクセス性が向上するほか、軟弱地盤の通過延長が比較的短いこともあり、事業費が約170億~220億円で最も少なくなる見込み。支障家屋は約40軒としている。
 ルート帯案の設定に当たっては、昨年8~10月に行った第1回目の地域への意見聴取で得た回答を踏まえつつ、走行性と安全性の確保や、三次救急医療施設へのアクセス性強化といった5つの政策目標に沿って必要な道路機能を整理し、学校や病院といった施設への影響が少なくなるよう配慮した。
 委員からは、軟弱地盤への対処で工事が遅れることを不安視する声が上がったものの、東北地方整備局では同じような軟弱地盤に三陸沿岸道路(矢本石巻道路)を整備した実績があるため、「しっかり対応できる」と回答した。
 急な欠席となった浜岡委員長に代わって座長を務めた東北工業大学の菊池輝教授は、3案とも国道108号の現道より北~東側にBPルート帯を設けていることに対し、南側を選ばなかった理由を質した。これについて同局は、軟弱地盤のほか、ほ場整備との関係で地域の理解が得にくい点を理由に挙げた。
 今後は第2回目の地域意見の聴取を行い、それを踏まえて同委員会で検討を深め、概略ルートや道路構造などの対応方針を決定する。
 石巻河南道路は、地域高規格道路として整備を計画しており、本年度に仙台河川国道事務所が同線の予備設計業務を建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)に委託した。
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