12市町4月から 調整区域の開発許可改正 農村施設創設や古民家用途変更

[2019/12/12 栃木版]
 県は、2020年4月1日から市街化調整区域における「都市農村交流施設の立地基準を創設」するとともに、「専用住宅の建築規制を緩和」、「古民家等を観光資源として宿泊施設や飲食店などへ用途を変更」できるよう開発許可基準を改正する。対象は、開発審査会を設置し独自に基準を設けている中核市の宇都宮市を除く線引き12市町。このうち古民家等の用途変更では今後、県と開発許可権限を持つ足利・小山・栃木・佐野・鹿沼・真岡の6市が審査基準を改正する予定。

 県都市計画課によると、県内市町は人口減少・高齢化の進行などにより既存コミュニティの維持が困難になるなど、地域活力の低下が懸念されている。一方で、市街化調整区域は開発が制限され、新たな建築物の建築はもとより、既存建築物の用途変更の場合においても知事等の許可が必要とされ、地域再生へのハードルが高いとし、開発許可基準を改正することで、取組を支援するとした。

 基準改正のうち、都市農村交流施設にかかる立地基準の創設では、従来の農産物直売所などに加え、観光農園や農村レストランなど幅広い機能を持つ都市交流施設の立地を認めるもの。具体的には観光農園、農産物直売所、農村レストラン、農産物加工体験施設とし、これら複数の機能を持つ複合施設の立地も可能としている。開発区域の面積は、単独用途が1000平方m、複数用途では5000平方mが上限とし、建築物は単独用途で延べ200平方m、複合施設は延べ500平方mとした。

 申請者は農業者や営農関係団体、農業法人とし、市街化調整区域で生産された農産物や農産加工物を直接販売することが条件。施設の立地に当たっては、市街化調整区域内の農村地域の活性化を前提とし、都市計画の観点から支障がないとして市町長の意見が付されたものとしている。

 専用住宅の建築にかかる規制緩和についてこれまでは、市街化区域から1km以内または50戸連たん区域など、集落要件を満たした土地において、線引き前からの宅地でなければ自己用住宅の専用住宅を建築することができなかった。基準改正では線引き後に宅地になった土地であっても、過去に適法な専用住宅が10年以上存在していた土地であれば、住宅を所有しない者の自己用住宅の建築を可能とするよう、基準を改正するもの。

 古民家等を活用し宿泊施設や飲食店など観光資源として用途を変更する基準改正では、各自治体のまちづくりに関する方針や計画等との整合性の観点から、対象建築物は地元市町の観光振興計画などにおいて、観光資源に位置付けられたものとしている。

 県内でも大谷石蔵や江戸時代の木造家屋などをリニューアルし、観光資源として活用する機運が高まっており、リニューアル後は消防法等に基づき、規模や用途に応じて出入り口を複数設置するなど、二方向避難ができるよう防災面の備えも必要とした。

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