老朽化施設の再整備も 図書館ビジョン2040(千葉市)

[2020/4/25 千葉版]
 千葉市教育委員会は「市図書館ビジョン2040」をまとめて公表した。市の「知の拠点」として、将来の図書館のあり方や施策展開の方向性を示す指針となるもので、ハード面でも老朽化が進むなどしている市内数カ所の図書館・図書室について、複合化のほか、拠点性のある商業施設の活用などを取り入れた施設の再整備を検討していくなどとしている。

ミーティングルームなどの設置が検討される中央図書館

ミーティングルームなどの設置が検討される中央図書館

 同ビジョンは、今年2~3月に実施したパブリックコメントを経てまとめたもの。インターネットの普及や今後の人口減少など、中長期的な社会変化を見据え、実現を目指す未来像を描いた上で、逆算する形で取り組むべき施策や方向性を示すなどしている。

 内容をみると、中央図書館を拠点とする予約図書などの物流機能が、作業スペースなど物理面で限界に近付いており、今後図書を取り次ぐ窓口や返却ポストといったサービス拡大を進めていく場合の大きな課題となっているとした。

 その物流機能拡大や施設価値の最大化に向け、図書資料の保管機能と物流機能を一元的に担える新たな拠点を整備することについて、利用者や地元住民などの意見を聴取しながら、具現化を検討していくとともに、施設運営については、庁内関係部署や機関と協議した上で、民間機能を活用した運営体制の導入を目指すなどとしている。

 このうち、生涯学習センターを併設し、今年で築後20年となる中央図書館は今後、未来へつなぐ「知」に関する情報センター(知の収集・保存・デジタル化、セミナーなどソフト事業の拠点)としての機能を新たに加えるため、図書資料の保存・物流機能の一元化で生じる空きスペースを活用し、市民が集まるスペースやミーティングルームなど市民が学び、交流できる空間を整備する方向で検討する。

 機能強化の一方で地区図書館は、特定分野の専門的な資料を揃えた図書館として再編。サービス内容の限定化を図るなど簡素な組織形態(地域の図書館、図書を取り次ぐ窓口への移行)を目指すなどとした。

 老朽化が進み、対応が必要となる施設について同ビジョンでは▽緑図書館土気図書室▽みやこ図書館白旗分館▽若葉図書館▽花見川図書館▽若葉図書館西都賀分館──を挙げ、これら施設の民間商業施設内でのテナント化や、公民館図書室としての再整備などについて庁内関係部署と協議。その方針決定後、地域住民に説明するとともに、施設の設計などといった具現化に向けて進めていくとしている。

 老朽化が進む施設の概要は次の通り。▽施設名=[1]完成年[2]構造[3]規模(延床面積・専用)──の順。
▽緑図書館土気図書室=[1]1974年[2]RC造2階建て[3]専用196平方m
▽みやこ図書館白旗分館=[1]1973年[2]RC造3階建て[3]専用548平方m
▽若葉図書館=[1]1974年[2]RC造2階建て[3]延べ1,146平方m
▽花見川図書館=[1]1978年[2]RC造2階建て[3]延べ1,200平方m
▽若葉図書館西都賀分館=[1]1980年[2]RC造3階建て[3]延べ762平方m

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