日光土木の川俣温泉川治線 21年度末にトンネル工発注 ヤード確保へ下期に改良工

[2020/7/25 栃木版]

 県は、日光市若間地内の主要地方道川俣温泉川治線の狭あい区間約2500mの整備(若間工区)について、トンネル1基の延長を931mとし、西側からの片押しのNATMで2021年度末にも工事を発注できるよう準備を進めていることが分かった。県日光土木事務所によると、今年度はヤードを確保する改良工を下期にも発注する見通しを示し、坑口西側に近接する2号橋下部工をトンネル工事に含めて対応する計画とした。2号橋は上部が橋長10.14mのプレテンション方式PC単純床版桁。下部工は逆T式橋台2基で、川俣温泉側が杭基礎、川治側は直接基礎で施工する計画。

 事業はトンネルを整備するバイパス区間1800mを先行して第1期工区、1号橋を含む西側の現道拡幅区間700mは第2期工区として進めていく計画で、今年度は用地調査と用地買収を進めていく予定。

 同区間の現道は3.5~5m程度で、南側には一級河川鬼怒川が流れている。道路北側の斜面は落石の危険性が高く、トンネルによるバイパスを計画することとなった。トンネルの地質調査は川崎地質(東京都港区)、詳細設計を建設技術研究所(東京都中央区)が担当。川俣温泉側坑口と2号橋の詳細設計がニューフロンティア(宇都宮市)、川治側坑口と一般部の詳細設計をピーシーレールウェイコンサルタント(同)が担当している。

 トンネルはC等級で、車道5.5mを確保した幅員7m。両側には0.75mの監査路を設置する。車道・監査路とも路盤工に車道路面をコンクリート舗装、監査路の路面は表層コンクリートで施工する。設備はC等級に合致するよう照明等の常用設備とともに、非常用設備として通報・警報設備が非常用電話・押しボタン式通報装置・非常用警報装置のほか、消火設備として消火器を設置する見通し。

 橋梁は起点の川俣温泉側から鬼怒川支川の下の沢(1号橋)、トンネル坑口西側に近接するコビツリ沢(2号橋)、上八重沢(3号橋)の3カ所。3号橋の詳細設計はシーアイエス(宇都宮市)が担当。落石が多い箇所のため当初は、土石流の影響などを懸念し橋梁の架設を計画していたものの、地盤改良を行うことで安全性を確保、ボックスカルバート工(W5.7m×H2.7m)に決めた。

 1号橋は第2期工区に位置し、概算延長が5m。詳細設計は第1期工区の進ちょく状況を見ながら委託時期を検討していく。

 若間工区は、15年度県公共事業評価委員会で、16年度からの事業着手を了承した。総事業費に約41億円を試算。標準幅員は両側に堆雪帯を設置した8mとし、トンネル部が7m。事業費の内訳は、測量設計費2億円、用地補償費5000万円、工事費は38億5000万円としている。

 同工区の改善に当たり、屈曲して狭あいが著しい大川築から若間集落までをトンネルによるバイパスとした理由として、▽現道拡幅の場合、急峻な地形の拡幅と防災危険箇所対策のための法面工事などに多額の費用を要すること▽現道拡幅では、防災危険箇所範囲外の落石などに対する危険性を完全に解消することができないこと▽同工区は日光国立公園特別地域内にあり、地形改変による自然環境や景観への影響を小さくすることが必要なこと-を挙げている。

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